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8月。 2話

[369]  2009-03-02投稿
  10も歳が離れている。
最近太ったという。
 元から肉付きのいい体だった。
 左胸に手のひらの半分ほどの彫り物。
 (私は刺青が嫌い)
 はっきりした顔つき。
太くて濃い眉、大きな目、背の高く力強さを感じる鼻、厚い唇。

  すべて私の理想とは真逆。

 どうしてこんなにも頭からはなれないのだろう。
 好き。まだそこまで辿り着いていないはずなのに。
  

昔から、十代の頃から、私には確信がある。

 心と体はベツモノだ。

 心で惹かれていても体が満たされるとは限らない。
  それは逆でも同じ事。
 今でも変わらず毎日のように連絡を取り合う姉には、その事は話していない。
  色気違いだといわれるに決まっている。

  彼を思い、ボディーソープを薔薇の香に変えた。
 
 子供達とお風呂に入りながら、ボディーソープを素手で体に滑らせる。
  子供たちには苺ミルクの香り。

浴槽に浸かる。

香りが風呂に充満する。


私は満ち足りた気分で浴槽を見渡す。

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