Monstars Da-Capo?
「――昔、魔導師の家に招待されたことがあるんですよ」
とろけたチーズをのせたパンにかじりつきながら、後にアーガス・アガチと名乗った男は血を吐いた理由について、そう飄々と語った。
ウーははあ、と薬の鍋をかき回しながら気のない相づちを打つ。
「当時から私は貧しかったですから、何といいますか、こう、呼ばれたからには何か素晴らしい食事が出ると信じていたんですね。だから訪問する四日前から食事を抜いた。そう抜いたんです。なのに、なのに……っ!」
アーガスは悔しそうにどんとテーブルを叩いた。
「あの、テーブルを壊すのだけは……」
「わかってますよ」
「あっ、ならいいです……」
「……結局、魔導師宅で食事が、豪華な食事が出ることはなかったんです。もう落胆極まって吐血ですよ。それ以来、私は極端に飢えると吐血する体質に……」
ものすごく落ち込んでいるが、これは慰めるべき場面なのだろうか?
ウーはあまりよくわからず、自分の中だけでそう問いかけた。
変な男である。
さっきからひとりで何かぶつぶつと言って、自分の頭をぽこぽこ叩いたり、そんなことばかりを続けている。
何だかんだで思わず連れてきてしまった。
危険な人物ではないと思う。
彼は背は高いが猫背で痩せっぽちで、かつて読んだことがある書物の中に登場する騎士や、魔導師のように筋骨隆々ではなくて、魔力は持っているが本当に微弱、ただの旅人であるようだ。
性格も臆病であるようだし。
でも、ここをすぐに出て行ってもらわなければなるまい。
部外者を勝手に村に引き入れたと知れたら、今度こそウーは殺されてしまうかもしれないのだ。
「アーガスさん、悪いのですが、それを食べ終えたらここから――」
出て行ってもらえまいか。
ウーがその言葉を言い終える前に、窓の外からの騒ぎ声がそれを遮った。
「……何でしょうねぇ?」
「わかりません……私、ちょっと見に行ってきますね」
深緑のマントをつかんで立ち上がりながら、何か胸騒ぎのようなものがした。
「私もご一緒してもかまいませんかねぇ?」
思わぬ申し出は相変わらず覇気がなかった。
とろけたチーズをのせたパンにかじりつきながら、後にアーガス・アガチと名乗った男は血を吐いた理由について、そう飄々と語った。
ウーははあ、と薬の鍋をかき回しながら気のない相づちを打つ。
「当時から私は貧しかったですから、何といいますか、こう、呼ばれたからには何か素晴らしい食事が出ると信じていたんですね。だから訪問する四日前から食事を抜いた。そう抜いたんです。なのに、なのに……っ!」
アーガスは悔しそうにどんとテーブルを叩いた。
「あの、テーブルを壊すのだけは……」
「わかってますよ」
「あっ、ならいいです……」
「……結局、魔導師宅で食事が、豪華な食事が出ることはなかったんです。もう落胆極まって吐血ですよ。それ以来、私は極端に飢えると吐血する体質に……」
ものすごく落ち込んでいるが、これは慰めるべき場面なのだろうか?
ウーはあまりよくわからず、自分の中だけでそう問いかけた。
変な男である。
さっきからひとりで何かぶつぶつと言って、自分の頭をぽこぽこ叩いたり、そんなことばかりを続けている。
何だかんだで思わず連れてきてしまった。
危険な人物ではないと思う。
彼は背は高いが猫背で痩せっぽちで、かつて読んだことがある書物の中に登場する騎士や、魔導師のように筋骨隆々ではなくて、魔力は持っているが本当に微弱、ただの旅人であるようだ。
性格も臆病であるようだし。
でも、ここをすぐに出て行ってもらわなければなるまい。
部外者を勝手に村に引き入れたと知れたら、今度こそウーは殺されてしまうかもしれないのだ。
「アーガスさん、悪いのですが、それを食べ終えたらここから――」
出て行ってもらえまいか。
ウーがその言葉を言い終える前に、窓の外からの騒ぎ声がそれを遮った。
「……何でしょうねぇ?」
「わかりません……私、ちょっと見に行ってきますね」
深緑のマントをつかんで立ち上がりながら、何か胸騒ぎのようなものがした。
「私もご一緒してもかまいませんかねぇ?」
思わぬ申し出は相変わらず覇気がなかった。
感想
感想はありません。
「 キリン 」の携帯小説
- 【携帯版】多賀城[たがのき]の携帯サイトが完成しました。
- PC用小説サイト新設のお知らせ
- 「携帯小説!」がスマートフォンに対応しました
- 【状況報告】03/18の管理人現況
- 【ネット復活】更新再開
- 管理人です。
- サイトの新デザインを作ってみました。