いつまで経っても、君は僕を見つめてはくれないんだね。
「さち。」
僕は愛しい君の名前を呼ぶ。
君は相変わらず、ちょっと困ったような顔をして微笑むんだ。
僕だってわかってる。
君には僕より愛してる人がいることを。
そしてそれが僕の親友だってことも。
でも僕は気づかないフリをする。
だって君が僕に気づかれてないって思ってるから。

「アキラ？」
君は微笑みかけてくれる。
でもこの笑顔はほんとは僕に向けられたものではなく、僕を通して僕に重ねてアイツに微笑みかけているものなんだ。
君はアイツを忘れるために僕と一緒にいるんだろうけど、アイツを忘れるどころかアイツへの想いはどんどん膨らんでいるんだろう、多分。

でも僕はそれでもいい。
どんなカタチであれ君が僕のそばにいてくれるなら、僕はきっと幸せなんだ。
偽りの愛だなんてわかってる。
僕を通してアイツを見つめて、僕を通してアイツを想ってる君。
僕は君しか見つめていないのに..
僕は君しか想ってないのに..

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