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見えない糸 10

[130]  もう30歳  2009-03-06投稿
何かが吹っ切れた私は、『今』を楽しんだ。
悩み、泣きはらした日々が嘘の様に毎日楽しかった。
相変わらず、二股状態だったが、多摩さんはもう嘘を言わない。
『明日は彼女に会う事になってるから、ごめん』
『わかってる。だから謝らないで!』
私は、笑顔で送れるようになった。だって、彼女からしたら、私の方が嫌な女でしょ?
彼女には悪いけど、多摩さんと一緒に居たいの。例え、二番目でも…。
多摩さんは、きちんと私にも100%でぶつかってくれてたと思う。
だって私は幸せだった。『愛されてる』って感じてた。他の人が聞いたら、『なんて男!』って思うだろうけどね。でも、私はそれだけで良かった。

2人の関係はもう6年が過ぎようとしていた…。

暑さが増す夏。多摩さんの誕生日がやってきた。
『プレゼントなにがいい?』と私の問いかけに、『じゃあ、部屋の鍵』この答えには深い意味があった。

付き合いだして、6年もたつのに多摩さんは部屋の鍵だけは、今まで受け取らなかった。
なんのおまじないかは知らないけど、二股男のケジメなんだとか…。
その鍵を貰うということ。
そう、多摩さんは彼女と別れ私を選んでくれたのだ。

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