past
眼差しがとらえる過去
綺麗な綺麗なオブラート
私だけのものだから
正確さは必要ない
美しければそれでいい
時には傷を癒すため
時には前に進むために
両手でやわらかく包み込んだ
私だけの大切な思い出
……周りからは違って見えたことだろう
ひどく醜く汚くて
どうしようもなく哀れで
でもそれが何だって言うの?
そんな他人は記憶から蹴り飛ばしてしまえばいい
過去だけだから
現在も未来も都合よく変えられたりしないけど
過去だけはそれができるから
大切に生きた時間を誤魔化さないで
くだらない、だなんて気取ったりしないで
恥じることもなければ悔いることもない
誰にだってある苦しくて切なくて息もできないくらい優しい過去
そのほとんどは心の奥に閉じ込めて、時々そっと手のひらを開いてのぞいてみたり
そして励まされて今を生きる力に変えていけばいい
ねえ
きっと神様はそのために過去を作ったんだよ
何もなく今を生きるのは苦しすぎるから
だったらもう少し頑張れるよね
このやりきれない現実もいつかは優しい過去に変わるから
その時まで頑張って生きるよ
今を生きるよ
日々過去を作りながら
増え続ける過去に焦燥感を募らせながら
それでも歯をくいしばって
今を、生きるよ。
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