｢久しぶりだね｣

ナナは地元の小さなラウンジでバイトしていた。
ナナには4歳になる息子が1人いる。母一人・子一人の生活は昼間の仕事だけでは食べていけず、週3日バイトのある日は母親に預けて働いていた。

バイトにも慣れはじめた時だった。
｢いらっしゃいませ｣
2人組の男がお店のボックス席に座った。
ナナはおしぼりを2つ持ち席についた。
｢お飲み物何にしますか？｣｢俺は焼酎、緑茶割で｣セーターを着た小柄の男性が答えた。
｢俺は烏龍茶割･･･｣ キャップにパーカーの体格の良い男性がナナを見て答えた。｢･･･久しぶりだね｣体格のいい男性がナナに向かってポツリと言った。
？
ナナは男性を覗き込み
｢あったさん？｣
｢帰ってきてたんだ。こっちにいないって聞いてたから｣
あったさんはナナの4つ上の先輩だった。ナナが高校生の頃から付き合ってた元旦那の知り合いでバンドをやっていた。
何度もライブや、彼氏を通じて会った事はあったがまさかあったさんがナナを覚えているとは思わなかった。

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