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ギャラクシーラリー7

[477]  フェイ  2009-03-09投稿
参入志願者逹 2

「お疲れ様でした〜!」

若いスタッフの声が響き渡ると、タクヤはふぅっと息をついた。

花束を競演した女優から受けとると、ニッコリ微笑んだ。

タクヤ主演のドラマがクランクアップしたのだ。

タクヤは国民的アイドルグループのメンバーだ。

歌に俳優業、バラエティー番組と休む間もなく働いて築き上げた場所だ。

大物女性歌手と結婚し子宝にも恵まれた。

人は皆、彼を成功者と呼ぶ。しかし…。

タクヤは時々、心の中で別の自分が囁くのだった。

「これで、お前は満足か?」
その声を聞く度に、胸にモヤモヤとした虚ろな空間ができる。

これ以上何を求めるのか?俺は何を望んでいるのか?一体何が不満なのか?

自分でも分からなかった。しかし、この思いはいつもタクヤの心のどこかにあるのだった。

タクヤは、そんな素振りは周りには絶対に見せない。
彼は一流なのだ。

しかし、仕事の多さに最近は疲れ気味なのは確かだ。
そんなタクヤの考えを見透かしたように、所属事務所の社長がグループに1ヶ月の休みをやると言ってきた。あり得ない事だが、社長は本気だった。

突然の休暇にグループのメンバーは戸惑いつつも、あれこれと計画を立てているみたいだ。

タクヤは何も考えていなかった。家族にも休暇の事は言っていない。理由はない。何となく言いそびれただけだ。

仕事はもう終わった。長い休暇の始まりだと思うと、また、タクヤの中の別のタクヤが囁き始める。

「これでお前は満足か?」

うるせぇ!黙れ!タクヤは別の自分をねじ伏せる。

ああ、あいつは満足しているのだろうか?

タクヤは、ふと昔グループを脱退し、自分の夢だったレーサーになった元メンバーの事を思い出す。

あいつはあいつ。俺は俺。関係ないさ。

楽屋で考え事をしているとメンバーの一人であるツヨシが入ってきた。

「ねぇ、これなんだけどさぁ」ツヨシはケータイの画面をタクヤに見せる。

ギャラクシーラリーというサイトだった。

タクヤの胸で心臓が、とくん、と鳴った。

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