携帯小説!(PC版)

太陽

[550]  齋藤 仁  2009-03-10投稿
 僕は高校時代、自分の向かうべき道について葛藤があった。
やりたい音楽の道と、付属の大学に進学するという葛藤だ。
音楽活動は、文化祭でのライヴや、プロダクションに所属してのヴォーカルのレッスン等をしながらの日々を過ごしていた。
プロダクションの所属費用やレッスン代をコンビニのバイトで稼ぎながら、レッスンでは自分の声を録音して聞いてみたり、先生のライヴの裏方の仕事を手伝ったりした。
自分の声を聞いて、自分が意識して出している声との違いに自信ややる気をなくしたものだが、その違いは誰もが思うことらしい。周りの人からしてみると、自分で自分の声を聞くのとは違った聞こえかたをしているという。
僕は尾崎豊に多大な影響を受け、好きな音楽で生きて行きたいと思うようになった。僕はここで煙草を吸う。
大学は行きたい学部もなく、この先この勉強ばかりの毎日は続かないと思い、高校を中退した。親は泣いた。
僕は太陽鉱油というガソリンスタンドにバイトという形で働きながら音楽の道を目指す事になった。
そこでは周りの人たちは自分の会社のことを太陽と呼び、夏は敷地の端に当たる陽に熱さを覚えながら、洗車用のホースから水を出してみんなでシャワーを浴びたりした。
仕事は楽しかった。太陽から力をもらっていた。そんな中、僕は音楽の事で悩むのが嫌になっていた。一人で考え、親にも相談せず、レッスンに行かなくなった。自分でやったことは自分で済ませるという思いが強かった。高校を辞めてからその時までバンド活動はしていない。
それから7年くらいして、このまま音楽活動をしなかったら後悔すると思い、友達の結婚式で再会した同級生を誘い、再びバンド活動を再開することになった。高校ではブルースで有名なクラプトンのアコースティックライヴのコピーをやったが、今回はバンドといえばロックというずっと思っていたことを実際に叶えることになった。自分がやりたい曲をやらせてもらったので、実際合わせてみるととても気持ちのいい愉しいものだった。
僕は今、そんな活動を続けながらまた違うガソリンスタンドでバイトをしている。ただ、前と違うのは、今は就職活動をしているという事。眩し過ぎた太陽を、今また見たいと思っている。この先一週間くらい曇りらしいが…。

感想

感想はありません。

「 齋藤 仁 」の携帯小説

エッセイの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス