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先輩ノ背中

[153]  ゆ⌒り+゚.  2009-03-12投稿
ずっと追いかけてた。
背中の、広い背中。
少し猫背な、その背中。

今その背中に寄りかかっていて、先輩と同じ自転車に乗っている。


それだけで、頬が火照って、坂道を下るとき当たる風がそれを冷やした。


『大好き』


信号で止まったとき、先輩の背中にそっと指で書いてみた。


先輩はこそばゆかったのか、ブルッと震えて、背中に手を当てこっちを見る。


私は素知らぬ顔で、そっぽを向いた。



先輩は怪訝な顔をしていたけど、信号が青に変わったので、また自転車はゆっくりと出発した。



少し楽しくなってきた。


次に調子に乗った私は、先輩の脇に手を回し、背中にギュッと抱き付いてみた。



自転車が、横断歩道の真ん中で、キキッと音を立て止まる。



「バカ」



しばらくの沈黙のあと、振り向いた先輩は真っ赤な顔をしていた。



「ほんとに、集中できないじゃん。事故るよ」


「別にいい」


「は?」


「もし骨折とかして入院したら、先輩と一緒の病室にしてもらうんです。

そしたら学校に行くより、ずっと一緒に入れますよ?」


きっぱりと言い切った私を、眉をしかめて見つめていた先輩は、はぁっと溜め息をついた。


「もし! 片方が死んじゃったりしたらどうすんの。


それに…あんま可愛いこと言うなよ」


「どうしてですか?」



私の問いを無視して、先輩は無言で自転車に乗り込んだ。



先輩、バレバレですよ。耳まで真っ赤じゃないですか。



私はクスッと笑って、先輩の頬にそっとキスをした。



自転車がまた、キキッと高い音を立てて止まったのは、言うまでもない。



(完)

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