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航宙機動部隊前史後編・37

[512]  まっかつ  2009-03-15投稿
次に、義勇軍が挙げられる。
元軍人や自己武装した民間人達が銀河各地で結成した反超大国勢力の雑多な集団であったのが、次第に最終平和達成の旗印の元にまとまり戦う様になり、実質的な主力軍となった。
彼等は当初必要な物資や弾薬以外は一切報酬を受け取らず、正にボランティアとして二大超大国の正規軍と対峙したが、後にはかつての軍人失職・迫害の悲劇を避けるべく、率先して傭兵企業を立ち上げ、未来の防衛産業の担い手となって行く。

資金面では新興財閥が全面的に協力した。
最も、これには生臭い裏ないし真相があった。
今だ財界では旧来の太陽系閥が圧倒的に有力で、二大超大国ですら軍資金の大半をこれに依存した挙句、頭が上がらない状態と言う有り様だったのだ。
この太陽系閥の独占体制に不満を持つ新興財閥群は密かに、或いは大っぴらに最終平和主義勢力に接近し、スポンサーを買って出た分けだ。
ただし、その新興財閥にも全く理念や志が無かった分けでもない。
彼等の提供した資金は、最終的には持てる内の八割を越えていたし、当初のリーダー・ルテハラ氏は、後銀河連合の上級警察に逮捕され、壮絶な拷問の末獄中で《病死》している。
正に命がけだったのだ。
新興財閥は後に、太陽系閥との抗争に打ち勝ち、銀河財界の主人公として大航宙植民時代の牽引役として活躍する事になる。

こうして様々な分野から味方を得た最終平和思想勢力は、二大超大国と宗教界の《負のトライアングル》に闘いを挑んだ。
だが、それにたいする反撃は即座に来た。
銀河元号一六0五年第一期五日《修正太陽暦一月五日》・彼等の本拠地ヘテ星系が宗教界によって特定され、その主惑星ゼミハラが何者かの手によって爆破されてしまったのだ。
リーダー達の集う年次会合を狙ったテロであった。
これによって最終平和思想は敗北し、その勢力の壊滅も間近だ―二大超大国側はほっと胸を撫で下ろした。

だが、ここからが本番だったのだ。
これまで国家機構にがんじがらめに縛り付けられていた一般星民達が、これをきっかけに決起し、その流れは益々大きく激しくなった。
彼等はほぼ自然発生的に新たなる指導部を設けた。
それは単に総会《アセンブリィ》とのみ呼ばれた。
アセンブリィと末端との連絡や意思疎通には、ジャスティス=ハッカーズが一役買った。

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