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神の丘〜二人〜?

[495]  佐奈  2009-03-17投稿
「えっ、どうしたんだい?」

「いいから、早く、早く!」

クロムは昨日の子供達に手を引かれ、外を走っていた。

着いた場所は昨日の教会だった。”あれを見て”と指をさした場所に、いびつながらもその形らしき、参拝用の机や椅子があった。

床に積もっていた、砂や落ち葉、ガラスの破片や木屑が、綺麗に片されていた。

聖書台の近くで二つの黒い影が動いていた。

「あなたは、昨日の‥」

「あっ!クロムの旦那!!昨日はど〜もすいませんでした。これ、観てくださいよ!少しいびつですが、座るぶんには問題ないですよ!」

額には昨日の傷と、大量の汗をかき、両手には金づちと釘を持っているゴンザがいた。

「あと、これ。そこら辺に咲いてた花だけど、俺、教会とか学校とか行ったことがなくて、教会のイメージって解らなくて‥」

チンピラ風の男が、路上で見かける花を、数本、クロムに渡した。木片で傷付けたのか、手には無数のスリ傷があった。

「‥ありがとう。あなた達の教会のイメージが、こんなに温かいものであって良かった‥」

「へへっ」

二人は少し照れて笑った。

「ずるいぞゴンザ!自分ばっかりクロムに気に入られたいからって、いい子ぶっちゃって!俺だってそれ位出来るぞ!」

「私だって!」

「俺も・・」

「僕も!」

そう言って、子供達はゴンザの所に駆け寄った。


日は高く登り、ガラスの割られた窓からは、太陽の光が何本もの線になって薄暗い教会の中に差し込んでいた。

聖書台の上には花が飾られ、机や椅子も、5・6人座れる数に増えていた。

床に釘を打ち付けているクロムにゴンザが言った。

「だいぶ、それっぽくなってきやしたね」

「‥ああ」

「なんかいいもんですね。壊れた物が直っていくのって。こんな事するのガキの頃依頼ですよ。ここも、最初は綺麗な教会だったんですよ‥といっても、一度も入ったこと無いんですけどね」

「どうして入らなかったんですか?」

「いや〜見ても解るように、ガキの頃から悪ガキで、盗みやケンカばかりでして‥」

ゴンザは額の汗をぬぐい、ゆっくりと話始めた。


つづく

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