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kANON

[468]  花音  2009-03-19投稿
優しいメロディーが
私を包み込んだ2月

良く晴れた空から
キラキラとこぼれ落ちる光がアナタの横顔を照して
私は思わず息を飲んだ

アナタは天使だったんだね

いつか外国の教会で見た
天使像のような
神々しくて美しいその横顔に私はあの日恋をしたんだ


アナタの奏でる音は
「KANON」という名前が付いていて、私はすぐにソレが好きになった

小さくメロディーを口づさんでみると、周りの花達がワルツを踊るように揺れた


いつも遠くから眺めていた
アナタに近付く事もなく声を掛ける事もなく
ただ、アナタの美しい横顔をずっと眺めていた

きっと私はアナタに恋をしてはいけなかったんだ

こんな私とアナタじゃ釣り合う訳がないし、振り向いても貰えないだろう

それに、私はもうすぐ旅に出る

恋が叶ったとしてもすぐに離れ離れじゃ意味がないもの




旅立ちの日は
あの日のように晴れ渡り
優しい風が吹いていた

最後にアナタを見る為に
私は八分咲きの桜の木に寄掛り、いつもの窓を眺めた

窓の隙間からメロディーがこぼれてくる

あぁ
この曲を聞くのもコレで最後なんだ…

私はメロディーを口づさむ
これがアナタへのお別れの言葉…


すると今まで開いた事の無かった窓がゆっくりと開いた

窓辺からアナタが優しく私を見つめている

何も言葉はないけど、その優しい瞳で、美しく微笑むアナタと何かが通じた気がした

これで
悔いは無いわ…

私は大きく翼を広げて、広い空へ眩しい光の中へと飛出した



「小鳥かぁ…もう外は春なんだなぁ〜」

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