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奈央と出会えたから。<337>

[473]  麻呂  2009-03-23投稿

サチヨが得意気に話し始めると、その側にいたタツヤが、すぐに食い付いてきた。



『へぇ、マジかよ?!成沢って、元番長の青山とツルんでたヤツだろ?!転校生の。』



『そうよ。ベージュのボブヘアーでスレンダーな体型の。

ちょっと可愛いからって調子こいてる女。』



相変わらずのサチヨの毒舌ぶりは、聞き慣れていた筈だったケド、



それは、クラスメイト達にとっても興味をそそられる内容だった。



『そういやぁ、成沢って、隣町のK中から来たって話じゃん。』



興奮気味のサチヨに返した、タツヤの言葉が、更に彼女を調子付かせた。



『そうそう!!そうなのよ!!ユカのカレシと同じK中なのよ!!

でさ、その男って、噂によると、かなり遊んでるっぽくて、2股のみならず、3股も4股も掛けてるって。』



サチヨは、小鼻をヒクヒクさせながら、更にエキサイトしていた。



こんな話、ユカに聞かれたら大変だケド、この日は幸い、ユカは珍しく学校を休んでいた。



体調が悪いというコトで、お母さんから担任の渋川へ連絡があったそうだ。



『ひっでぇ男だな。じゃあ成沢ともまだ別れてねーんじゃね?!

秋田谷も遊ばれてるだけってコトか?!ヒャッハッハ。』



タツヤが、サチヨの仕入れて来た、この情報を聞いているトキの態度は、まるで人の不幸を楽しむかの様だった。



『いいんじゃない?!ユカも裏切り者だし。

初めに、奈央が裏切られて、次はあたしが裏切られたじゃん?!

だから裏切り者は、裏切り者に裏切られて当然よ。

目には目を、歯には歯をよ。』



サチヨは、そう言った後、気だるそうに大きなあくびをした。



クラスメイト達は、サチヨとタツヤの会話を聞きながら、



他人事だからと、ただ聞き流す者や、誰かに噂の検証をさせようと、目をキラキラ輝かせている者など、反応は様々だった。



あたしは、サチヨの言葉が、さっきからずっと心に引っ掛かっていたから、



突然、そのコトを言ってやりたい衝動に駆られたんだ。

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