夏と西瓜 第2話
「おーいヒロム、そこのクーラーボックス取ってくれ」
8月5日の夜、僕ら家族は帰省の為に荷物をワンボックスカーに積み込んでいた。
祖母の家は、静岡県の熱海の少し先の伊東市とゆうところだ。
東京からだと車で4、5時間だし、きれいな川があって蛍も見れる。
「ねーお母さーん、明日熱海の花火大会だよね?サナちゃん達も来るの!?」
一年で大晦日とこの日だけは夜更かしできるからか、姉は随分ご機嫌だ。
サナちゃんとは、従姉妹で姉と同い年の13才の女の子。ただし、姉とは正反対の優しくて大人しい人だけど。
僕の遊び相手は、サナちゃんの妹のアイちゃんとマホちゃん。二人ともまだ僕より年下だから、僕がお兄ちゃんの役目を果たしている。
時々僕は、こんなに女の子だらけの中にいるから内気でおとなしい性格になってしまったんじゃないかとさえ思ったりする。
家を出発して約30分後、車は首都高に入った。
「ひゃっほー!風が気持ちいーねヒロム〜!」
「うんっ!」
僕と姉は窓を全開にして叫んだ。
満月が、どこまでもついてくる。
「あんまり顔出すと危ないぞー」
運転席から父が声をかけたが、僕らは窓の外を流れる東京の夜景に釘付けだった。
時刻はもう夜の23時だってゆうのに、東京はパチンコ屋のネオンみたいにギラギラと光を放っていて、月は何だかそれをとても邪魔そうに見下ろしているようだった。
「姉ちゃん。」
「んー?」
「月はどうしてどこにいても同じように見えるの?何で僕らについてくるの?」
僕は、ハリウッドスターでも見ているかのようにうっとり夜景に魅入っている姉に聞いた。
「バカだねぇヒロムは。月がついてくるんじゃなくて、地球が丸いからどこからでも同じように見えるんだよ。そんなことも知らないのぉ?」
「だってまだ習ってないもん」
僕は少し膨れた。姉は何だってこう言う物言いなのか。
「あたしにとってはね、所詮月なんて飾り物。見てみなさいよ、このダイヤのように輝く夜景を!月なんて足元にも及ばないほどの眩さを!」
ミュージカルのヒロインに抜擢されたかのように、姉は大袈裟な手振りでそう言い放った。
8月5日の夜、僕ら家族は帰省の為に荷物をワンボックスカーに積み込んでいた。
祖母の家は、静岡県の熱海の少し先の伊東市とゆうところだ。
東京からだと車で4、5時間だし、きれいな川があって蛍も見れる。
「ねーお母さーん、明日熱海の花火大会だよね?サナちゃん達も来るの!?」
一年で大晦日とこの日だけは夜更かしできるからか、姉は随分ご機嫌だ。
サナちゃんとは、従姉妹で姉と同い年の13才の女の子。ただし、姉とは正反対の優しくて大人しい人だけど。
僕の遊び相手は、サナちゃんの妹のアイちゃんとマホちゃん。二人ともまだ僕より年下だから、僕がお兄ちゃんの役目を果たしている。
時々僕は、こんなに女の子だらけの中にいるから内気でおとなしい性格になってしまったんじゃないかとさえ思ったりする。
家を出発して約30分後、車は首都高に入った。
「ひゃっほー!風が気持ちいーねヒロム〜!」
「うんっ!」
僕と姉は窓を全開にして叫んだ。
満月が、どこまでもついてくる。
「あんまり顔出すと危ないぞー」
運転席から父が声をかけたが、僕らは窓の外を流れる東京の夜景に釘付けだった。
時刻はもう夜の23時だってゆうのに、東京はパチンコ屋のネオンみたいにギラギラと光を放っていて、月は何だかそれをとても邪魔そうに見下ろしているようだった。
「姉ちゃん。」
「んー?」
「月はどうしてどこにいても同じように見えるの?何で僕らについてくるの?」
僕は、ハリウッドスターでも見ているかのようにうっとり夜景に魅入っている姉に聞いた。
「バカだねぇヒロムは。月がついてくるんじゃなくて、地球が丸いからどこからでも同じように見えるんだよ。そんなことも知らないのぉ?」
「だってまだ習ってないもん」
僕は少し膨れた。姉は何だってこう言う物言いなのか。
「あたしにとってはね、所詮月なんて飾り物。見てみなさいよ、このダイヤのように輝く夜景を!月なんて足元にも及ばないほどの眩さを!」
ミュージカルのヒロインに抜擢されたかのように、姉は大袈裟な手振りでそう言い放った。
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