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だいすきなきみに ?

[217]  サンテンゴ  2009-03-24投稿
バイトのシフトを思い切って週5回くらいに増やした。
働いている時は、仕事に集中できる。
しかし、仕事が終わった瞬間に、気持ちが不安定になった。

いつも同じ時間に上がる男の人は、今日も休憩室でリンゴジュースを飲んでいた。
私は、更衣室でケータイをいじっていた。
なるべく誰とも絡まないように帰りたくて、彼が先に帰るのを待っていたのだ。
「七星ちゃん」
ドアの向こうからいきなり話しかけられた。
「…はい」
「明日、暇?」
どう答えるべきか悩んだ。そして、
「えっと…何かあるんですか?」
「ライブやるんだけど」
「???」
更衣室のドアを開けた。
彼はジュースのパックの口をいじりながら、椅子に座っていた。
目を合わせずに彼が口を開いた。
「俺バンドやってるんだ、でさ、明日ライブあるから…」
「へー、バンドマンなんですか…どこでやるんですか?」
うっかり聞いてしまった。八方美人な自分が嫌になる。
「N駅の東口のすぐ近く。七星ちゃんライブハウス行ったことないんだっけ」
彼が少し楽しそうになってきた。

…ヤバい。

「4バンド目に出るから、でもライブ自体は6時半からやってるけどね…」
とりあえずニコニコしておいた。
「で、来る時メールして?駅まで一応迎え行くよ」
「あ、はい…てかアドレス知らないです」
ああああ!!何で普通に受け答えしてるんだろう…!!
アドレスの交換までしてしまった。
「…あれ?もしかして無理矢理誘っちゃったかな…ごめんね?」
「いやいや!!楽しみにしてますよ!!」

彼は手を振って、嬉しそうに帰っていった。
行くしかなくなってしまった。

彼がテーブルの上に置いていった空のパックをゴミ箱に投げ入れて、ため息をついた。

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