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神の丘〜二人〜?

[486]  佐奈  2009-03-24投稿
憂牙の後をおってクロムはしばらく走った。

赤茶け、過密する住宅地を抜けると、そこには、赤い鉄の要塞があった。

無数のパイプと鉄骨とレンガで出来た建物。その要塞の息が止まってからどれ位経つのか、サビ付いた鉄と、手入れのされる事の無い雑草が生い茂っていた。

「ここは・・・」

スラム街の奥にこんな場所が‥そう想いクロムは足を止めた。ひとけも無く、ただ、遠くからカラスの鳴き声だけが聞こえていた。

「ここは30年前に閉鎖された製鉄所ですよ」

鉄骨の影から憂牙が現れた。

「・・・!」

「昔、この街は、この製鉄所によって栄えていたみたいですよ。でも、閉鎖する7年前位から、近くの山から取れる鉱石の量が減った事と、システムの老朽化で、やむなく閉鎖。人は離れ、その跡地がそのまま残り、スラムと呼ばれるこの街が出来た‥と言うわけです」

「‥あなたは、誰です‥」

キャスケットを脱いだ顔、髪の色、姿、形は、憂牙そのものだった。瞳も赤い‥でも、違う。


声が違う。


「‥その前に、教会からずっとあとを付けている後ろの人は、誰ですか?」

「えっ・・?」

クロムが振り返ると、ねずみ色のマントを頭からつま先までかぶり、顔には奇妙なお面を付けた人物が、クロムの頭上高く、短剣を振り上げていた。


パァーン!


乾いた音と、クロムの横を通り抜ける速い風。

「ぐっ・・!」

マントから赤い血がジワリと広がっていく。力尽きたマントの男は地面にうずくまった。

銃口から白い煙が空へとのぼっていく。

憂牙に似た男は薄い微笑みを浮かべ言った。

「‥はじめまして。エレミヤ国18代目教皇ユリウス・ヴェルハウゼンの御子息、クロム・ヴェルハウゼン様」

「・・・・・!!」

「我が国の任務と、エレミヤ国の依頼により、あなたを救出に参りました‥まっ、任務の一環ですが‥そんなに似ていますか?憂牙という人物に」

銃をしまい、男はクロムに近づいて来た。

つづく

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