奈央と出会えたから。<340>
『誰がカッコつけてるって?!』
教室内を見回そうとした、あたしのすぐ後ろで、いつもの優しいトーンの声が響いた。
『あっ、聖人どこに行ってたの?!』
『ちょっと‥‥な。』
あたしの問いかけに、ただ一言そう答えると、聖人はすぐサチヨに視線を移した。
『秋田谷の付き合ってる男の情報をどこで仕入れた?!』
聖人から思わぬ質問を受けたサチヨは、目をまん丸く見開きながら、こう答えたんだ。
『その男と寝た女が言ってたのよ。』
サチヨは、フフンッと鼻で笑ったかと思うと、タツヤと目を見合わせた。
『おい、北岡。秋田谷の付き合ってる男の情報を嗅ぎ回ってどうするつもりなのよ?!
サチヨの話じゃ、その男、すげぇ遊んでるヤツらしいぜ?!
別に俺には関係ねーし、どーでもいーケド。』
タツヤは、そう言うと、手に持っていたケータイでゲームを始めた。
『てめぇら‥‥それでも同じクラスメイトなのかよ‥‥。』
タツヤとサチヨに、一瞬鋭い視線を向け、そうつぶやいた聖人だったケド、
その口調が、これ以上の言葉を言っても伝わらない2人を相手に、再び荒げられるコトは無かった。
――その男と寝た女が言ってたのよ――
サチヨの言葉が、
あたしの胸に深くコダマしていた――
感想
感想はありません。
「 麻呂 」の携帯小説
- 奈央と出会えたから。<434>
- 奈央と出会えたから。<433>
- 奈央と出会えたから。<432>
- 奈央と出会えたから。<431>
- 奈央と出会えたから。<430>
- 奈央と出会えたから。<429>
- 奈央と出会えたから。<428>