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鏡サヨナラ(一話完結)

[866]  キユデヒ  2009-03-25投稿
君の病気を知りながら…。




僕は君と付き合っていた。



余命4ヶ月か…。




僕は病気の事に一切触れず君と話をしていた…。



今日は昼にドーナツ食べたとか…どうでもいい話をした…。





やつれた顔を見るのが嫌だから病室の鏡を取り外した…。




その日から4日連続て同じ夢を…。





君が僕に向かって手を振る…泣きながら…。




僕は目をさます…。




それを4日連続…。




その事は君に話さない…。



いつものように…。
昼にクリームパンを食べたとか…どうでもいい話をした…。






僕らの時間は有り難くも…正確に消化されて行った。





忘れる準備をしようと考えていたが…忘れようとする作業じたいが忘れられない原因だ…。





自然に任せる…。
時間に任せる…。
方法はそれぐらいでしょうかね…?






って誰も答えてくれないか…当たり前って感じだけどね…。






命の炎がただの火となり…点々が取れて人になって…支えがなくなり人が消える…。





わかっていても…手が震えて怖いものだ…。





僕は彼女に内緒で手鏡を隠していた…。
久しぶりに自分の顔をみたそこに映っているのは…。





もうじきこの世を去る男の顔だ…。






僕と君は同じ病気…。
二人にしかわからない…。この痛み…苦しみ…。




僕は息が浅くなり…最後に君が窓越しに泣きながら手を振る…。





君の手を振る姿が僕の手鏡に映っていた僕にそっくりだった…。


君もいつか亡くなるのか…でも…唯一の願いが叶った僕より君が長く生きてくれた事…。

…鏡………………………………サヨナラ…………。



僕の最後の言葉は君に届いたかな…。














またね…。

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