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猫の手 手帖2

[474]  猫の気持ち  2009-03-25投稿
あれ? ドラえもんには耳がない? 全く顔を洗うついでに自らの耳なる有無も確かめつつも、いくら目を凝らして見たとて、やはりドラえもんには耳がない。なんとも吾輩ども猫を代表する人気者、ドラえもん。何故に耳がないのかと心配となって、ちょっこら調べてみれば、どうやら昔、ある鼠さん一族によって、かじり穫られたらしい。ここにはきっと、決して涙なしでは語れぬ、何か深い事情がありそうだ。

ご存知? 我ら猫一族とは、ネズミ退治の薬なんかが「猫いらず」と名づけられたことから自ずとわかるが如く、昔から鼠を捕獲する技のみで重宝され、ほとんどいやいや仕方なく飼われる存在なのである。そんな吾輩達が鼠に耳をかじり穫られるとは、なんたる不幸中の不幸ぞ。もはや人々からは相手にされない無意味な余生しか浮かばない。されどそこは我等のドラえもん。人々のお役に立ちたいとの一心にて、必死に人々の要請を探るにあり。そして様々さまよい歩くこと、ようやく見つけたるが、発明の道。人間界ではちびまるちゃんたるもオススメなるか、かの伝記エジソン。はや猫界においても、近く伝記ドラえもんが仕上がると専らの噂。

ところで話はハッピーエンドに終わるを知らない。ここは是非ともサクセスストーリーの涙を拭いていただき、篤と続きのご静聴、ご期待申す次第。

と言うのも、ドラちゃんの発明品を産むは何とかなったが、問題はのび太君。こののび太君とは、ドラちゃんの人々からの要請に応えたいといったあの気持ち、それはもう巧みなほどによく熟知しているが故、ついついドラちゃんも結局は不本意にも貸してしまう。まあもともとの猫の習性であったならば、のび太君の猫なで声なんかにゃ、素知らぬ顔にて、右手でも舐めつつ普段の身嗜みなどに専念する場面。されどドラちゃんの立場にしたら、鼠に耳をかじられた過去があるため、それは何とも仕方がない。ああ、発明の道辿るも、副産物、のび太君的人間の誕生に一肌脱いだ形?

そんな訳でドラちゃんに吾が一族共通の着ぐるみにも似た体毛なき事情は、やはりかの一肌脱いだ結果と、吾輩たちの間では、もはや噂を越えた定説に向かう響きあり。 最後に余計な心配かも知れぬが、吾輩にとってはドラえもんのあの丸い手、上手に爪を隠した結果かどうか、最近少々気にかかる。

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