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神の丘〜二人〜?

[489]  佐奈  2009-03-29投稿
「・・・変装か?」

「フッ‥私は、憂牙というコソ泥と違って、変装は得意ではありませんよ‥」

そう言って、両目の中にあった赤いカラーコンタクトを外し、左の頬をぬぐった。

ファンデーションか何かで隠していたのか、左目のまぶたの上から口の横まで、一本の傷跡があった。その傷を隠すつもりなのか、銀ぶちの細いフレームのメガネをかけた。

クロムは横に立つ男の顔を見た。

傷や瞳の色、身長は違うが、とても似ている顔に言葉を失っていた。

「このマントの男、あなたを狙っているように見えましたが‥」

息絶えたマントの男の前にしゃがみ、かぶっていたマントをめくり上げた。

「・・・・!」

マントの男の腕には、なにやら紋章らしき刻印があった。

「これは‥エレミヤ国の紋章!‥自国の王子の命を狙ったのか‥!」

「‥あなたは、エレミヤ国の依頼と言いましたね‥」

クロムは腰にある剣を抜き、しゃがんでいる男に斬りかかった。

「なら!私の敵です!!」

男はクロムの攻撃をフワリと避け、コートの中から銃を取り出し、クロムにかまえた。

「‥国とか、任務とか、最初から、私には関係ないんでね‥あなたに死んでもらっても構いませんよ!」


パァーン!!


さっきとは違う乾いた音が、高く響き渡る。

男の足元に銃弾の後と、砂埃が立ちこむ。見上げると赤茶けた鉄骨の上に黒い人影があった。


「憂牙!!」


「‥そいつに手を出すな」

男は憂牙を見ると、顔を下に向け、肩を震わせ笑った。

「‥フッ‥フフッ‥会いたかった‥会いたかったよ!憂牙!!」

そう叫ぶと、憂牙にむけ一発撃った。

弾は憂牙のかぶっていたキャスケットをつらぬいた。

憂牙は避けるように鉄骨の上から飛び降り、クロムの前に立った。

「お前がレメクか‥そうかお前が‥予想以上に早くここにたどり着いたな」

「私の本名を知ってるとは‥私の情報は10年前、国家の裏警察に入る際に、全部抹消したはず。やはり、あの女と通じているのか‥」

生ぬるい風が三人の前を通りすぎる。

つづく

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