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猫の手10 和歌

[533]  猫の気持ち  2009-04-03投稿
生まれも育ちも日本にあるは、暢気に暮らす吾輩の生活。そんな訳で、恥ずかしながらも何を隠そう、吾輩もちょっぴりは和歌なんぞも嗜んだりする。確かに猫なんぞが和歌など嗜んで何になるかと、思い笑う気持ちもわからない訳ではないが、しかし隣の娘さんと知り合ってからというもの、自然と和歌なる存在を知ってしまったのだから仕方がない。

さて、かの娘さんのこと、唯一吾輩の前でのみ和歌集を読む。普段は理数系に長けているらしく、少々理屈ぽい面があると聞いている。ご両親さんもその一人娘さんの少々言い過ぎるためのいざこざを心配はしているが、まあそんなに大きな問題ではなく、極普通の親心に由来していると言っていい。

ところで吾輩が察するところ、娘さんのお気に入りはどうやら「久かたの 光のどけき 春の日に しず心なく 花の散るらむ」という歌のようだ。一から和歌など創作する力など毛頭ない吾輩なので、ここは招き猫にあやかり、真似き猫気分で手習った。

「久かたの 光のどけき 春の日に 体丸める 猫の昼寝」

全く誰にも公表してないので自分で評価するしかないが、こうした字足らずは一体どう評したらいいのか大変悩む。まあ吾輩も真似き猫の域を出るには遠く及ばぬが、色々つくった中で自画自賛できる一句もある。

「花の色は うつりにけりな いたづらに 我が身丸める 昼寝する間に」

少なくとも字数から評すること、前作が字足らずに屈してしまったのに比べて、こちらは程よく収まった。内容からすれば、花の色の移ろう様を篤と見届けようと狙って居ったが、いつもの暢気な昼寝の間にすっかり見逃してしまったと言う感じに若干仕上がってしまい、多分それも吾輩どもの忙しさ知らずが原因だ。

それにしても猫なんぞの作品にしては、玉手箱を開けてしまった浦島さんの気持ち、あるいは噂となった最終話、電池切れで眠っていたドラえもんとのび太君との再開なんかも少々重なり、想いの広がる拠点にもなってて、なかなかいい。すればドラえもんの電池切れも、ひょっとすると、のび太君の科学者への道へ一肌脱いだ形かと、議論も広がってくる。ただ「昼寝」をテーマとする吾輩のワンパターンを指摘されると、ちと耳がいたい。

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