奈央と出会えたから。<343>
森宮 ヒロキは、あたし達に向かってそう言うと、
色白の肌に美しく光るその涼しげな瞳を一瞬細め、
含み笑いをしながら、長めの前髪をゆっくりと静かにかき上げた。
『ヘッ。テメェが森宮か?!
噂通りのナルシスト野郎だゼ。
そのナルシストが俺らに何の用だ?!
何故、俺の名前を知ってやがる?!』
聖人が森宮に向かって言った。
『白々しい演技もほどほどにしてよ?!北岡君。
用があるのは君の方でしょ?!
僕について、色々嗅ぎ回っているクセに。』
森宮は、ニヤリと一瞬だけ表情を変えたかと思うと、直ぐに元のクールな表情に戻った。
『分かってたなら話が早いゼ。
森宮。テメェは今、秋田谷 ユカと付き合っていると思うが、
ある人物に聞くところによれば、付き合っているのは秋田谷だけではないそうじゃねぇか?!』
聖人の鋭い眼光にも、森宮は全くひるむコトすら無く、
不気味に含み笑いをしながら、肩を震わせていた。
『クックック‥‥。だったら何だって言うの?!
僕が誰と付き合おうと、僕の勝手でしょ?!』
森宮は、そう言うと、手に持っていた鏡で自分の顔をうつし、眺め始めた。
『このっっ‥フザケやがって!!
じゃあ、テメェが不特定多数の女と付き合っているというのは本当なんだな?!』
森宮のふざけた態度に、聖人の怒りも頂点に達しているかと思われた。
『だったら何だって言うの?!
クックック‥‥。
君は見掛けによらずマジメなんだね?!
それとも‥ぷっ‥‥もしかして、不良の出来損ないってヤツ?!
そんな茶色い髪して、耳に3つも穴開けてサ。
全然、説得力無いよ?!
今時、そんなヒーロー気取りで何のつもり?!
頭が弱いクセに、僕の様な頭の良い者を相手に、勝ち目があるとでも思っているの?!』
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