時と空の唄13-5
「…仕方ないね、雪。
君とは戦いたくなかったよ…」
イツキは至極残念そうに言うがそれが本心かどうかは定かではない。
「私もです…イツキ」
その瞬間からまだ幼さの残る少年と少女の一騎討ちが始まった。
「『打てば響く氷霊の館 来たれ氷の鏡』!」
雪が叫ぶように唱えると厚い氷の壁がイツキを囲んだ。
「何のつもりだ、雪?」
「……。」
雪は氷の壁を張っただけでまるで攻撃を仕掛けてこない。
それを不審に思ったイツキが雪に問うが雪は押し黙り、何も答えようとしない。
「来ないならこっちから…―――っ!?」
壁を壊そうとしたイツキだが、イツキが壁を攻撃すると背後から攻撃を食らった。
雪かとも思ったが雪は壁を作った後まるで動いていない。
「…どういうことだ?」
「あなたは、自分を攻撃しているんです。」
そこに立ち尽くす雪は、辛いが仕方がない、という顔で俯いている。
「…鏡を攻撃すれば鏡に映ったあなたが攻撃する。
とても…セコい術です。」
イツキは自分を囲む壁を壊そうとするが壊そうとすればするほど彼は傷つく。
勝敗は、火を見るより明らかだった。
流れ出た血と僅かな水の中にイツキは倒れていた。
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