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バスターズ!・第三十八話「恨まない訳」

[495]  博上 文  2005-11-14投稿
風吹きすさぶ真夜中、木々はガサガサと音をたて、道路のゴミが風に舞うなか、龍一と咲坂は出発の準備をしていた。
まず龍一がバイクの座席の後ろに乗り、それを咲坂がベルトで固定しはじめた。
「普通ついてるか?バイクにベルトなんて・・・」
「この空間跳躍用二輪車、『アウトバイク』は多人乗りを主として作られている。負傷者など、車体にしっかりつかまっていられない者のために、ベルトがついている。」
咲坂は龍一の腹をベルトでぐるぐる巻にしながら説明した。
(空間跳躍・・・テレポートか?)
「よし。」
咲坂の声とともに、カチッと音が鳴り、龍一の腹がきゅっと絞まって体が車体にしっかりと固定された。
続いて咲坂もバイクにのり、何やら備え付けのパネルを操作し始めた。

(・・・とうとう行くのか)
龍一は物思いにふけっていた。
これから先はおそらく、つらさや痛みの連続だろう。もちろん、死ぬことだって十分にありえる。
楽しみや喜びとは、無縁になるかもしれない。
(それでいい・・・アキラのかたきがとれれば・・・)
龍一は自分に言い聞かせた。

「・・・正直・・・」
「?」
ポツリとぼやくような咲坂の声を、龍一は聞いた。
「恨み辛みを吐かれると思っていた。」
パネルを操作しながら、咲坂は言った。
「・・・昨日のことか?」咲坂の後頭部に、龍一は聞いた。
「そうだ。」
昨日・・・それはアキラがあの化け物に食われたときのことだった。
もしあの時、咲坂がもっと早く来ていれば、アキラは死なずにすんだかもしれない・・・
龍一はふぅ、と一息ついて言った。
「確かにあんたを恨んでないといったら、嘘になる。」
「・・・・・・」
咲坂は、黙りこくった。
「けど・・・俺はあんたから電話があったとき、あんたの誘いを断ってた。それなのに自分の都合が悪くなったら助けてもらおうなんて・・・虫がよすぎると思ったんだ。」
龍一の話を、咲坂は依然、黙ったまま聞いた。
「それに、俺はもう二度も命を助けられてる。あんたを責める道理はない。」
「・・・そうか。」
咲坂は安心したかのような声で言った。
「・・・強くしてくれるんだろう?」
龍一は少し、語調を強めて聞いた。
「ああ。」
パネルを操作し終えた咲坂は、ハンドルを強く握り絞めた。

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