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あしたなんていらないから?

[289]  あめの  2006-07-11投稿


――……いつもと同じ。


穏やかな朝。


昨日の明日。

明日の昨日。


今日。



いつもと同じようにやってきた。



1分1秒、狂うことなく今日はやってきた。




『狂ってるっていったら…………』



僕だ。



毎朝8時30分にに始まる朝のHR。

僕はその10分前に家をでる。

家から学校まで大体電車に20分揺られれば着く。


つまり僕の学校生活は、1限目の途中から始まる。



それなのに、今日ときたら8時には学校に着いていて、
ゆっくりゆっくり階段を上がったのに、8時6分には屋上で寝転がっていた。



『これ…遅刻って言うのかな。』




そして、僕は期待していた。



あの女の子が屋上に来ることを。



『またね。ってことは、また会うってことだろ?』



明日も来るかどうかも聞かれたし…



『今日は…名前聞いてみよっかな。』



どうやって聞こう…とか、なんて名前か当ててみようかな…とか、
いろいろ考えてるうちに、校庭が騒がしくなってきた。


『…みんないつも早いんだなー。』


いや、これが普通なのか。




『俺が遅すぎなんだな。』



はははっ…と乾いた笑いをしながら寝転がる。



『…ねむ…………』




久しぶりに早く起きたせいか、まぶたがなまりのように重く感じる。



『…あの子くるまで…寝てよっかな…』




僕はまた、昨日と同じように夢の国へと旅に出た。








――…………風が…つめた…





『いいっ?!!』




がばっと勢いよく起き上がったら、頭がクラクラした。



昨日と同じように、空はうっすら夕焼け色に染まっている。




『……うわぁ…。』



やるせなさに溜め息をつくと、
カーン!と音を立てて、空き缶が僕の頭に当たった。




『痛ッ!ちょっ…誰だよッ!!』


振り替えった瞬間、ザァッと強い風が吹いた。



缶が飛んできた方向に、あの子が
昨日と同じように座っている。

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