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奈央と出会えたから。<345>

[507]  麻呂  2009-04-09投稿

その時、聖人の拳が森宮の顔の直ぐ横をすり抜け、



その後ろの、選挙用ポスター等を貼る為に設置してある、木製の掲示板をぶち抜いた。



『やべぇ‥‥。手元が狂っちまったゼ。』



聖人が、ポキッ‥ポキッと指を鳴らしながら、直ぐ目の前の森宮に、じりじりと詰め寄る。



『ヒッ‥‥ヒイィィィ‥‥‥‥‥。』



小さく悲鳴を漏らした森宮は、静かに小刻みに震えだし、



その体は、蛇に睨まれた蛙の様に、じっと身動きも取れずに固まったままだったが、



わずかに動いた足だけは、ゆっくりと後ずさりし始めた。



『テメェの頭は、女とヤるコトしか考えられねぇのか?!』


じり‥じり‥‥じり―ー‐



『ヒィッ‥な、なんだよ、北岡。

ぼ、僕が強引に女のコを誘ってるワケじゃないよッッ!!

女のコの方から、僕に近寄って来るんじゃないかッ!!

近寄って来るコは、僕のコトが大好きで、僕と付き合いたいと思っているコ達ばかりだ。

だから僕は近寄って来るコ、全てを拒まず、受け入れているだけだ。

これって、僕の優しさサ。

だから、感謝こそされても、恨まれる覚えは無いのサ。』



森宮は、恐怖心からか、怯えた目は虚ろで焦点が定まらず、


口元は、締まりが無く、パクパクとしどろもどろに、言い訳がましい言葉を発し続けていた。



最早、森宮の顔は、イケメンと呼ぶには程遠かった。



『おい森宮。クサの栽培を、成沢カズミにやらせてるのも、お前だな?!』



ガシッッ――



聖人は、森宮の胸ぐらに掴み付いた。



聖人に鋭い瞳で睨まれ、怯えている森宮には、その視線から目を逸らすコトは、多分もう出来なかっただろう。



『た‥確かにカズミと付き合っていたトキは、クサの栽培をやらせていたよ。

でも今は、もうカズミとは関係無いよ。
もし、カズミが今もクサの栽培をやっているのなら、それは僕の指示じゃない。
アイツが勝手にやっているコトなんだ。
だから、これからもしカズミが何か問題を起こす様なコトがあっても、僕とは全く無関係なのサ。』


森宮は、必死に成沢さんとの関係を否定していた。

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