夢-2-
それは、たくさんの偶然の重なりで、ただ一つの想いを貫いた結果だった。
その日はたまたま、いつもより早く起き、
偶然、つけたテレビがニュースをやっていて、
そして‥‥ふと、ずっと探していた彼女を見つけたのだった。
心が踊り出す程の嬉しさと、
心が裂かれる程の悲しさと、
初めて夢以外で見た君の表情は、笑顔とは程遠い、涙にあふれていたのだから‥
僕の足は、たまらず走り出していた。
それは悲惨な事故。
旅客機墜落。
死者300人以上。
奇跡的に生還したのは、旅客機の操縦士、その一人娘だけだった。
ほとんど無傷で生還した彼女は、その奇跡の代償に‥何百人の行き場のない怒りを向けられた。
−−−−−−−−−−−−
暗く閉ざされたアパートの一室。
ボロボロの布団を頭まで被って、私はペンを走らせた。
拝啓。
夢の中の貴方へ。
貴方のことが、大好きです。
だから、教えてください‥
ガシャーンっ!!
外から投げられた石が、窓ガラスを突き破って私の頭上を越えていった。
「出てこいっ この人殺しっ」
「たっちゃんを返して〜!なんであなただけ‥」
「あんたの親のせいだろ!」
「お前にも責任がある!!」
大勢の人の叫びが、割れた窓ガラスの穴から怒涛する。
やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて‥‥
「やめろーっっ!!!」
聞いたのとのない声で、
聞く人全てを尻込みさせる声色で、
久々に聞いた、私を助ける言葉。
私は布団を被ったまま、恐る恐る割れた窓に近付いた。
そこには、大勢の、私を非難する人たちと‥‥‥
その後ろで、息を切らしている、
夢にまで、夢でしか会えなかった…
大好きな人がいた。
−−−−−−−−−−−−
君は、
貴方は、
どこにいるのですか?
ただ、望むあなたの目の前に‥
−−−−−−−−−−−−
それは、春。
忘れることのない、
夢が叶った季節だった。
まぶしい太陽を背に、
それに負けないくらい輝く、満面の笑みに…
僕は恋をした。
fin
その日はたまたま、いつもより早く起き、
偶然、つけたテレビがニュースをやっていて、
そして‥‥ふと、ずっと探していた彼女を見つけたのだった。
心が踊り出す程の嬉しさと、
心が裂かれる程の悲しさと、
初めて夢以外で見た君の表情は、笑顔とは程遠い、涙にあふれていたのだから‥
僕の足は、たまらず走り出していた。
それは悲惨な事故。
旅客機墜落。
死者300人以上。
奇跡的に生還したのは、旅客機の操縦士、その一人娘だけだった。
ほとんど無傷で生還した彼女は、その奇跡の代償に‥何百人の行き場のない怒りを向けられた。
−−−−−−−−−−−−
暗く閉ざされたアパートの一室。
ボロボロの布団を頭まで被って、私はペンを走らせた。
拝啓。
夢の中の貴方へ。
貴方のことが、大好きです。
だから、教えてください‥
ガシャーンっ!!
外から投げられた石が、窓ガラスを突き破って私の頭上を越えていった。
「出てこいっ この人殺しっ」
「たっちゃんを返して〜!なんであなただけ‥」
「あんたの親のせいだろ!」
「お前にも責任がある!!」
大勢の人の叫びが、割れた窓ガラスの穴から怒涛する。
やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて‥‥
「やめろーっっ!!!」
聞いたのとのない声で、
聞く人全てを尻込みさせる声色で、
久々に聞いた、私を助ける言葉。
私は布団を被ったまま、恐る恐る割れた窓に近付いた。
そこには、大勢の、私を非難する人たちと‥‥‥
その後ろで、息を切らしている、
夢にまで、夢でしか会えなかった…
大好きな人がいた。
−−−−−−−−−−−−
君は、
貴方は、
どこにいるのですか?
ただ、望むあなたの目の前に‥
−−−−−−−−−−−−
それは、春。
忘れることのない、
夢が叶った季節だった。
まぶしい太陽を背に、
それに負けないくらい輝く、満面の笑みに…
僕は恋をした。
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