あしたなんていらないから?
『おねぼうさん。』
クスクスと笑っている。
なんだ。
もう来てたんだ。
少しガッカリしたような、なんだろう。
また昨日と同じじゃないか。
『目、覚めた?』
『おかげでしっかり目覚めたよ。』
僕はわらって答えた。
『今日はさ、風強いね。』
足をぷらぷらさせている彼女に向かって、僕は何気なく話題をもちかけた。
『うん。風邪、引かないようにね。』
『わ、わかってるよ。』
また鼻水が出ているのかと思って
僕は急いで鼻を拭いた。
『でてないから平気。』
クスクス笑いながら、彼女はまだ足をぷらぷらさせている。
なんか悔しい。
位置的なものもあるけど、なんか見下されてる気がする。
ちぇっ…
いじけながらうつむいていたら、聞くべきことを思い出した。
『あっ!』
僕がいきなり叫んだせいか、彼女はびっくりした顔をして、
『なに?』
と答えた。
『あ、あのさ。やっぱり、自己紹介してもらえないかな。』
僕がおどおどしながら聞くと、彼女は苦笑いをしてから
『昨日だったら教えてあげたんだけどなぁ。』
と、いじわるく言った後でやっぱりにこりと泣いてるように笑った。
『ごめんね。』
『ん。へいき。』
僕はあまり気にしてないように返事をしておいた。
その時、風がビュゥっと吹いた。
彼女は足をぷらぷらさせている。
『あ。』
『ん?』
ブワッと風が彼女の髪をなびかせる。
1本1本が綺麗にキラキラと光っているように見えた。
綺麗すぎて、僕は困った。
そして、風はもう一度僕を困らせた。
『すごい風だったね…』
言いかけたその時だった。
風はもう一度強く吹いた。
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