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あしたなんていらないから?

[262]  あめの  2006-07-11投稿


『おねぼうさん。』



クスクスと笑っている。

なんだ。


もう来てたんだ。



少しガッカリしたような、なんだろう。


また昨日と同じじゃないか。



『目、覚めた?』
『おかげでしっかり目覚めたよ。』


僕はわらって答えた。



『今日はさ、風強いね。』



足をぷらぷらさせている彼女に向かって、僕は何気なく話題をもちかけた。


『うん。風邪、引かないようにね。』
『わ、わかってるよ。』


また鼻水が出ているのかと思って
僕は急いで鼻を拭いた。


『でてないから平気。』


クスクス笑いながら、彼女はまだ足をぷらぷらさせている。



なんか悔しい。
位置的なものもあるけど、なんか見下されてる気がする。



ちぇっ…



いじけながらうつむいていたら、聞くべきことを思い出した。
『あっ!』


僕がいきなり叫んだせいか、彼女はびっくりした顔をして、

『なに?』

と答えた。



『あ、あのさ。やっぱり、自己紹介してもらえないかな。』



僕がおどおどしながら聞くと、彼女は苦笑いをしてから



『昨日だったら教えてあげたんだけどなぁ。』


と、いじわるく言った後でやっぱりにこりと泣いてるように笑った。


『ごめんね。』

『ん。へいき。』


僕はあまり気にしてないように返事をしておいた。



その時、風がビュゥっと吹いた。


彼女は足をぷらぷらさせている。


『あ。』
『ん?』



ブワッと風が彼女の髪をなびかせる。

1本1本が綺麗にキラキラと光っているように見えた。


綺麗すぎて、僕は困った。


そして、風はもう一度僕を困らせた。



『すごい風だったね…』


言いかけたその時だった。


風はもう一度強く吹いた。

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