十字路とブルースと僕と俺 30
午後8時。おれは十字路にいた。手にはギターの入った革のギターケースを持っていた。雪こそ降ってはいなかったが、寒さのほうは相変わらずだった。日中にほとんど溶けてしまった雪は、遠い山の上のほうに白くみえるものと、影になって陽の当たらなかったところにいびつな形で残っているものとが、所々に見られる程度だった。十字路を四方から照らす外灯の一つがチカチカと一定の間隔で点いたり消えたりしていて、そのたびにジッ…ジジッ…という音が聞こえてきた。
十字路に行ったのには理由があった。もしかしたらもう一度あの時のようにあの男に会えるかもしれない…あの人物が祖父であるか否かを確かめられるかもしれない…そんな風におもっていた。なぜなら、あの時のあのブルースがまた聴こえてきたからである。いてもたってもいられず、外套も羽織らず、手袋もはめず、それでもギターはしっかりと手に持っておれは外へと飛び出した。
むかうべき場所はわかっていた。15年前と同じあの場所だ。そう…あの十字路だ。
十字路に行ったのには理由があった。もしかしたらもう一度あの時のようにあの男に会えるかもしれない…あの人物が祖父であるか否かを確かめられるかもしれない…そんな風におもっていた。なぜなら、あの時のあのブルースがまた聴こえてきたからである。いてもたってもいられず、外套も羽織らず、手袋もはめず、それでもギターはしっかりと手に持っておれは外へと飛び出した。
むかうべき場所はわかっていた。15年前と同じあの場所だ。そう…あの十字路だ。
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