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割けよ。(2)

[333]  あおる  2009-04-12投稿
1.新人天使『ヒカル』


コイツは、とにかく弱い。
今も、俺様に気づかずただ、人間様の姿だけを見つめているだけ。
参ったもんだ。
奴は『ヒカル』形姿は完璧に近いほど整った美男子野郎だ。が、すぐになく、諦めやすい、上手くいかないとやめる、人間でいう、ニートに近い奴だな。
名前のとうり、光りも何もない。
天使にも、色々種類がある。人間の寿命を経て天国の門が開いていれば認められたと見なされとりあえず、天使になるための教育を受けて試験に合格すれば新人ではあるが天使の照合と名前が頂ける。だが、『ヒカル』は元々、天使だ。
言わば、サラブレットという訳だが…。
人間を経験してない分心がいまいち理解できずにいる。
いざという時、よくも悪くも決断と自覚もない。夢遊病のように羽根を広げて飛んでいるだけ。
そこで、俺様が受け持つ事になり、一週間監視と同時に育てなくてはならない。
言い忘れたが、天使に両親などはいない。けして、母親が産んだ訳ではない。
気づいた時にすでにもう、そこにいるのだ。サラブレットと言ったが天国の中でしかうまれない魂もあるって事だ。
天国のルールや生活しか知らない心が覚えられない。尚更、恋愛の意味さえ、わからない可哀想な奴だ。
いきなり、天使として目覚めさせられ選択のないまま強制的にこうして実践を強いたげられてる訳だ。
『ヒカル』の課題は一週間の間にある人妻の心を解放しなければならない。
俺様はその人妻が住んでいる向かいのビルの屋上でアグラをかいて『ヒカル』の様子を監視中だ。
案の定、人妻の部屋の窓から覗いているだけでボーっとしていた。まだ、俺様に気づかない。
…と言っても気づかれるまではバレちゃいけない。
甘えだして自分から何も考えようとしないからだ。
本音はおい、小僧。早く気付けよ。と…。
バレたら、俺様が隠れる面倒をかけなくて済むだろ?

でも…今のヒカルには無理だろうな。
あんなに、周りが見えてないかのようにみつめているだけならな。

つづく。

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