携帯小説!(PC版)

宵 雨

[221]  ひろみ  2009-04-14投稿
眠れない。

さっき、雨の降る音がした。

真夜中に降る雨が昔からとても好きだ。

好きだって書くとちょっと違うかもしれない。

なんだか心が震えるようなせつない気持ちになる。

涙が湧いてくる。
こぼれるほどではないけれど涙腺がしっとりと潤む。

こんなときはいつも中学時代の大好きだった彼を思い出す。
私はあの人の持つ空気をまだ覚えている。

真夜中の雨はそれに似ているのかもしれない。

今もしっとりと潤んだ夜気を含んだような空気を持っているんだろうか。

娘たちの規則正しい呼吸を確認した後で、そっと目を閉じる。

思い出に蓋をするように。

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