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思い出の足跡(27)

[689]  優風  2009-04-15投稿
仕事を済ませた僕は会社を出て、急ぎ足でまずレンタカー屋に向かった。美香から連絡をもらってから事前にネットで予約を入れていたからだ。車を持ってない僕は会員登録をして"レンタカー・バックス"を時々利用していた。会員の場合はポイントがたまるとクーポン券がもらえるようになっている。百円で“1”ポイント、“300”ポイントたまると二千円分のクーポン券がもらえるシステムだ。
“レンタカー・バックス”は二十四時間営業してる会社だった。僕は普通車を選択し、時間は二十四時間リースする事にした。料金は約一万円だ。

車を運転するのは約二ヶ月ぶりだった。前に舞と温泉旅行に行って以来だ。車に乗り込み、シートベルトを着用しキーを回してエンジンをかけた。僕は何故かこのエンジンのかかる音が好きだった。それから、左に指示器を出してゆっくりハンドルを切り慎重に車の運転を始めた。

土曜日という事もあってか道はかなり混んでいた。美香との待ち合わせ時刻は午後の六時を予定していた。予定の時刻までに三十分を切っていた。“このまま行けば予定より少し遅くなるな”と考えた僕は信号待ちの時に“予定より少し遅れるかもしれない"とメールをした。

信号が赤から青に変わり前の車に続いて車を発進させた。それから五分程してからメールの着信音が鳴った。“多分、美香だろうな”と思いながらも運転中という事もあってあえて携帯電話を続かず、運転を続けた。

六時過ぎにカーナビの指示に従いハンドルを切り右折して、住宅街に入った。三月後半という事もあって外はそれ程暗くはなかったが住宅街という事から子供や人が飛び出して来るかもしれないと危険予測をしてライトを灯した。

予定時刻を少し過ぎてから美香が指定した公園に辿り着いた。美香はすでに公園の前に立っていた。
「遅れてごめんね。寒かったんじゃない?」
とりあえず、僕は遅れた事を謝った。
「うん、三月後半といっても風もあるし寒かった」
寒さのせいだろう。美香の瞳は潤んでいた。
「荷物後ろに置きなよ」
そう言って僕は美香の鞄を後部座席へと移し、車をゆっくり発進させた。
「どこへ連れて行ってくれるの?」
「内緒!それは行ってからのお楽しみ」
僕は美香の顔を見て少し意地悪っぽく言った。

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