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ギャラクシーラリー45

[375]  フェイ  2009-04-16投稿
神野美穂は浮かれていた。
明日は遼一さんに会える。
もう、それだけで体が軽い。ふわふわ浮きそうだ。

数日前に遼一から携帯にメールが来た。内容は実にシンプルなものだったが、男からメールをもらうなんて美穂には初めての経験だった。

レースは何日間かかるか分からないから、せめて数日分の着替えを持ってくるように。レースが1週間以上続くようなら棄権も視野に入れておく事。

それらの事が書かれていた。それに対して返信する文章を、美穂は必死で考えた。何せ、携帯メールのやり取りを男とやった事などない。

「了解」この一言で良いのだが、この際だから、もっと遼一とメールがしたい。

ウブな27歳だ。彼氏イナイ歴イコール年齢の美穂には難題だが、絶好のチャンスだった。

あまり長文だと、引かれてしまうかも…。だけど、あまり簡単だと冷たいと思われるかも…。でも、早くリプライしなきゃ…。でも、でも…。

結局、散々考えた挙げ句、美穂の送ったメールは遼一のようにシンプルだった。
<こんばんは。お久し振りですね。メールの件、承知しました。就職活動の方はどうですか?私は全然ダメです…。レースは良い息抜きになりそうです。それでは>

美穂は何度も内容を確認してから、大きく息を吸い込み、送信ボタンを押した。思わず目をつぶる。

送信OKの文字を確認して、息を吐いた。しばらくは、放心状態だった。そして気が付いた。しまった!文末に、<それでは>なんて書いたら、もうそれで会話終わっちゃうじゃん…。猛烈に後悔したが、もう遅い。キッチンで牛乳を飲んで、自分の部屋に戻った時、携帯が鳴った。

着メロは<君の瞳に恋してる>だった。遼一だ。

美穂は心臓が飛び出るほど驚いたが、体が先に反応した。携帯電話に飛び付いてディスプレイを開く。まるで、ビーチでフラッグをとるスポーツの選手みたいだと空中で思った。

<そういえば、カンノさんって神野なんだね。菅野だと思ってたよ>

奇跡的に会話が始まった。

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