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wall〜壁〜vol.2

[451]  タロウ  2009-04-16投稿
「絶対に駄目です!!何を考えてるんですか!!由香はもぅ中学生になるんですよ!」

「何時間かかってでも帰って来て下さい!!」

夜遅く、台所の明かりの中で母がそう言って電話を置いたのは、
少年が小学3年生の頃。
薄目を開け、シンクに崩れる母を襖越しからボゥッと見ていた。

いつも笑顔を絶やさず、元気に接する母。

薄暗い台所の明かりが、さらにその悲しさを広げた。

翌朝、少年が目を覚ますと、父の姿は無かった。
しかし「父の香り」を感じ、家中を歩いて回る。

「お父さんは、もう会社に行っちゃったよ。」

母が優しく、笑顔で少年に言った。

その笑顔に「元気」は無かった。

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