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君と彼女4

[123]  さくら  2009-04-18投稿
『コーヒーお待たせしました。』

カウンターから声がする。

ハッとして我に返る…。


…君がいるわけ…ないのに……。

でも…確かに似ている…。

君には、妹なんかいない…。

夢でも見ているかのようだった…。

胸の鼓動を抑え、彼女の質問に答えた。

『あぁ…初めてだよ。ピアノの音色と、おいしそうなコーヒーの香りにつられてね…。』

声が上擦っているのが自分でわかる。

『…やっぱりね。このお店、ほんと常連さんしかこないから…。』

そう言って微笑んだ彼女は、僕の隣に腰掛けた。

複数の照明に照らされた彼女…。

光りと影のグラデーション…。

瞳を閉じる度に、
彼女の長いマツゲが影を浮き立たせた…。

大人びた色っぽさを演出する照明は、幼い彼女を浮き彫りにさせた…。

まるで、スローモーションでも見ているかのように、ひとつひとつの仕草が、僕の瞳に焼き付けられていった…。

『…今の曲…何て言うんだい?』

温かいコーヒーを口にしながら、僕は彼女に訪ねた…。

『人形の夢と目覚めっていう曲よ。眠っている人形が目覚めて、 踊り出す姿を描写した曲なの。ベートーヴェンの名曲よ。』

僕の事を、まっすぐに見つめて話す彼女に戸惑った…。

『…へー…そんな曲なんだ…。』

彼女の視線から瞳を反らし、まぶたを閉じた。

……駄目だな…。

君がよく弾いていた曲の題名も知らないなんて…。

顔の前で、コーヒーカップを両手で抱えながら数秒間黙り込んだ…。

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