〜勇一を中心とした、会話を聞いていた女と男…ため息をつきながら女が口を開いた。
（女）「あの…。この勇一って人、ずい分はっきりしないですね。鈍すぎるっていうか、恋愛に対して消極的ってゆうか…」
（男）「ええ」
（女）「あの中村ってゆう人の言ったこと共感出来るなあ〜」
（男）「そうかもしれませんね。でも踏み込んでいけない何か深い理由があるのかも…」
（女）「理由？どんなこと？」
（男）「それは僕にもわかりません。でも…」
（女）「でも?なんでしょう？」
（男）「先ほどの嶋野とゆう人が、その疑問を解くきっかけになるかもしれませんね。」
（女）「そう…ですか。ところで私はこのやりとりを見ていて、自分のことを取り戻せるのでしょうか？」
（男）「ええ…。確実とは言えませんけど…。ここから先、荒木さんと嶋野さんとのやりとりで、何かわかってくるのかもしれませんが、見ていただくしかありませんね」
（女）「じゃあ、あなたは、私がくるまで何を見ていたんですか？」
（男）「きっと、僕がここにくる理由をなんとなく見ていたからでしょうね」
（女）「くる理由？私は思い出せないのに？」
（男）「気を悪くしたのなら、すいません。多分僕はさまよい始めて、日が浅いからかもしれません。きっと、僕もいずれ忘れてしまうかも…」
（女）「そんな…でも、この先やりとりを見れば、自分が誰なのかわかるなら、見てみます」
（男）「本当にいいんですか？」
（女）「…はい」
少し恐怖ではあるが、わからないよりは、知ってしまった方がいい。
女の決心はかわらなかった。
（男）「今まで見たことも、これから見ることも、僕が作りだしたものじゃないです。それだけは理解してください」
（女）「わかりました。怖いけど、それで解決するなら」
（男）「では、こちらを見ていてください」
そう言うと、男は再び下を指差した。

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