携帯小説!(PC版)

トップページ >> 詩・短歌・俳句 >> 透明な孤独。

透明な孤独。

[423]  アイ  2009-04-21投稿
透明な孤独を震わせてあなたは笑った。

その笑顔が忘れられない。

細い声が忘れられない。

いつも胸を締め付けるだけ。

悲しいだけなのに、なぜか。

もう一度だけ、あなたに会いたくなるのです。

遠い昔のようで。

でも全然近い過去。

二人の間にあったのは憎しみと。

互いを牽制し合う寂しい自己愛の心だけ。

たったそれだけの繋がりで。

一人になりたくない私たちは、無意味に一緒の時を過ごした。

嫌な過去。

プライドをズタズタに裂くような。

おぞましくやり切れない切ない過去。

でもね。

今は痛くても、いつかいい思い出になるとわかっているから。

だから余計に悲しいの。

決して綺麗なものじゃなかった。

殺してやりたいくらいの憎悪が、そこには確かにあったんだ。

だから私は、『思い出』にはしないでおこう。

あの時の気持ちを忘れないために。

ただガラス細工のような繊細な箱に閉じ込めて。

それを砕いてしか思い出せないように。

はかない音と共に飛び散るガラスの破片に。

指を傷つけられて、血のにじむ思いを伴ってしか思い出せないように。

あなたをしまっておく。

あの光るような、透明な孤独と共に……。

感想

感想はありません。

「 アイ 」の携帯小説

詩・短歌・俳句の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス