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世界の果て

[664]  夏姫  2009-04-21投稿
『この世は、犠牲から成り立っている』

最初にそう言ったのは、一体誰だったのだろうか。

その名も知らぬ人の言ったことは、当たっている。

犠牲と矛盾に満ちた世界。

終わりなき破壊と再生の連鎖。
終止符が打たれる日は、来るのだろうか…。


「隼人ー!早く起きなさい!遅刻するわよー」

斎藤隼人は、この声に飛び起きた。

時計を見ると、8時を過ぎている。

「うわっ、やべぇ!」

そう言うなり、ベッドから出て、手早く支度をする。

「今度遅刻したら反省文だ!」

これが、いつもの光景だった。

「ふぁー!ギリギリセーフ!」

隼人は席につき、大きく深呼吸をした。

(危ねぇ、危ねぇ。反省文はさすがに無理だって。…しかし、何か変な夢見た気がするな…。世界がナントカカントカってやつ。あれ、なんだったんだろうな…)

隼人はずっと気にかけていた。

(忘れちゃイケナイ気がするのに…。さっぱり思い出せねーや。…ま、そのうちふっと…)

「斎藤!いる時位返事しろ!」

「!! すいません!います!」

担任に怒鳴られ、隼人は慌てて返事した。

「隼人ダッセー!珍しく早く来たと思いきや、怒鳴られてんじゃん!バーカ!」

「うっせー!ちょっと考えごとしてたんだよ!」

「へぇぇ!なおさら珍しいや!」
「おい、テメー!いい加減に…」

「そこ二人!うるさいぞ!」

「「すいません」」

そう、これが平和な日常の、最後の風景だった。

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