陰に眠る旅人は夢を見る。
生温い風がボクをくすぐった。
下から上へ、なめるように風が吹き抜け、黒く、くすんだアスファルトの香りが鼻をつく。
「まだだ。いや、もう無理か。いや、まだだ。いや、もう・・・。」
前向きと後ろ向きな気持ちが”こころ”のなかでくすぶって、なんの意味も持たない独り言として漏れだした。
『大丈夫か?』
その言葉が鈍く頭の中に響き、ボクをさらに憂鬱な気持ちにさせた。
「大丈夫なわけないだろ。」
届くはずもない悲しい呟きが、空間に虚しくかき消された。
ブォォォ。
また、生温い風がボクをくすぐる。
冷たい雫が頬を伝い、下にたれた。
汗だ。
「はぁ。」
出るのは、ため息ばかりでいっこうに状況は打開されない。
「もう、無理か。」
あきらめの方がいい。何も背負わなくてもいいからだ。
ずっと手に持っていたナイフを首にあて、そのまま力をこめて・・・。
ズシャ。
肉に刺さる音が、ボクにも聞こえた。
意識が遠のき、ボクはそのまま倒れた。
『大丈夫か?』
言葉が聞こえた。
ボクは、これから夢を見る。
遥かな夢。
〜つづく〜
下から上へ、なめるように風が吹き抜け、黒く、くすんだアスファルトの香りが鼻をつく。
「まだだ。いや、もう無理か。いや、まだだ。いや、もう・・・。」
前向きと後ろ向きな気持ちが”こころ”のなかでくすぶって、なんの意味も持たない独り言として漏れだした。
『大丈夫か?』
その言葉が鈍く頭の中に響き、ボクをさらに憂鬱な気持ちにさせた。
「大丈夫なわけないだろ。」
届くはずもない悲しい呟きが、空間に虚しくかき消された。
ブォォォ。
また、生温い風がボクをくすぐる。
冷たい雫が頬を伝い、下にたれた。
汗だ。
「はぁ。」
出るのは、ため息ばかりでいっこうに状況は打開されない。
「もう、無理か。」
あきらめの方がいい。何も背負わなくてもいいからだ。
ずっと手に持っていたナイフを首にあて、そのまま力をこめて・・・。
ズシャ。
肉に刺さる音が、ボクにも聞こえた。
意識が遠のき、ボクはそのまま倒れた。
『大丈夫か?』
言葉が聞こえた。
ボクは、これから夢を見る。
遥かな夢。
〜つづく〜
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