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生き証 (其ノ三)

[495]  あおいさくら  2009-04-22投稿
【仕事人間】

俺の親父は職人だ
朝から晩まで下向いて
黙々と糸を紡いでる

二枚目でもないし
口数も少ない
だけど 仕事の腕は誰にも負けない
仕事の量も誰にも負けない
俺はずっと親父を見ていた働くことのすばらしさを
働く人の美しさを
俺はずっと見ていた

親父を見ずに金だけ見てたオカンの姿も俺は見ていた
オカンは親父を愛していない
親父が稼いだ金を愛した
金さえあれば何でも買える金さえあれば何でもできる金さえあれば人の心も動かせる
全部オカンが教えてくれた

オカンは金で男を買った
親父の稼いだ金で
男を買った
俺も金で女を買った
親父の稼いだ金で
女を買った

女は俺に群がった
見た目イマイチの俺だけどフェラーリの助手席乗りたさに
女は必死で媚びを売る

群がる女の中の一人と
派手な結婚式をした

贅沢三昧の新婚生活
そんなに長くは続かなかった

金の切れ目が縁の切れ目

オカンも嫁も人格変わった親父を見る目が変わったオカン
俺を見る目が変わった嫁

それでも親父は働いた
朝から晩まで下向いて
黙々と糸を紡いでる

俺は初めて自分を恥じた
そして俺は 親父から離れ自分で稼ぐ決心をした
朝から晩まで汗水流して
働いて稼ぐ決心をした

オカンが金で買った男が
俺の前に現れた
事業を始めるから力を貸してと
俺の前で頭を下げた

俺は慣れないネクタイ締めて
会社発展の為に尽力した
陰口悪口叩かれても
俺は黙々と働いた
親父に負けない仕事人になりたくて
朝から晩まで働いた

そんな俺を嫁はけなした
給料少ないと文句言う
そんな俺を支えてくれた
彼女は笑顔で支えてくれた

俺がこの世で最後の夜
彼女は俺に笑顔で言った
「お疲れ様でした」と
言ってくれた

嫁が何を言ったか覚えていないが 文句だったのだけは覚えている

嫁の罵声を浴びながら
俺は布団に入り旅立った

仕事人間の俺の人生は
嫁の罵声で幕を閉じた

今さら言っても遅いけど…彼女の言葉で
幕を閉じたかったな

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