最後の願いを…
「行かなきゃ…」
躊躇いがない?
…そういえば、嘘。
だけど、行かなきゃ。
やらなきゃ。
優しくしてくれたあの人の唯一の私へのお願いだから。
今から向かう場所を頭に思い浮かべ、大きく静かに深呼吸をして、足を早めた。
もはや私のこともあなたの家族のことも、そして自分さえも忘れてしまったあなたの、最初で最後の願いを叶えましょう。
あなたは私にとって太陽だった。
その笑顔、優しさ、温かい言葉たち。
だから。
たとえ牢屋に入っても罪を背負っても。
これがあなたでなくなってしまったあなたへできる私の精一杯。
だから私は、
「あなた」の望みを。
願わくば、あなたが安らかに眠れますように。
一筋のそれが、冷たく頬を伝った。
「あなたがあなたでなくなったなら、
今日から私も私でなくなりましょう。
これでおそろい…
だから悲しくはないよ」
言い聞かせるように呟いて。
真矢は見慣れた公園に足を踏み入れた。
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