裏切り〈2〉
私、百合はただ今大学一年生。
将来的には獣医になりたい、って考えてる。
たくさんの小さな命を、この手で助けたいと思ってる。
「百合!次の移動、一緒に行こ!」
「うん、いいよぉ」
大学に入ってから新しくできた友達の楓は、いつも仲良くしてくれる。
人見知りの私にとっては、楓はすごく大切な存在だった。
「次ってなんだっけ?」
「解剖じゃなかったっけ」
「そうだった!!」
「あはは、楓ったら」
そんなふうに、私はキャンパスライフを楽しんでいた。
その時だった。
ドン!
「あっ、ごめんなさい」
角を曲がったところで誰かにぶつかった。
「いえ。こちらこそ、よそ見をしていたので…」
その声が男のものだったので、百合はさらに慌てた。
男に免疫がないのだ。
「いっ、いえ!本当にこちらこそ…」
そう言いかけて百合は言葉を止めた。
(紫苑…!!)
そう、目の前にいたのは、まぎれもなく昔付き合っていた人そのものだった。
「…あの、どうかしましたか」
しかし、目の前の男性は特に気にするような素振りを見せなかった。
「…いいえ。何でもないの。ただちょっと見覚えがあるような気がしただけ」
慌てたつけた笑顔に気づかないのか、紫苑はにこっと笑った。
「そうでしたか。ですが多分、人違いだと思いますよ。…失礼ですが、見覚えがないもので」
申し訳なさそうに肩をすくめる、紫苑に似た人を百合は疑いの眼差しで見た。
(この人の言ってること、本当なのかしら…。でも、嘘をついてるようには見えないし…)
そこで、百合はある考えにたどり着いた。
「あの、名前を教えてもらっても…」
〜キーンコーンカーンコーン
「ちょっと、百合!遅刻になっちゃうじゃない!急がなくっちゃ! 」
言うと同時に、楓は百合を引っ張って行ってしまった。
「ちょっと待って!?私まだあの人に話が…」
「後にしなさい!」
そうして、紫苑似のコに何も聞けないまま終わってしまった。
百合の心に小さな不安を残して…。
将来的には獣医になりたい、って考えてる。
たくさんの小さな命を、この手で助けたいと思ってる。
「百合!次の移動、一緒に行こ!」
「うん、いいよぉ」
大学に入ってから新しくできた友達の楓は、いつも仲良くしてくれる。
人見知りの私にとっては、楓はすごく大切な存在だった。
「次ってなんだっけ?」
「解剖じゃなかったっけ」
「そうだった!!」
「あはは、楓ったら」
そんなふうに、私はキャンパスライフを楽しんでいた。
その時だった。
ドン!
「あっ、ごめんなさい」
角を曲がったところで誰かにぶつかった。
「いえ。こちらこそ、よそ見をしていたので…」
その声が男のものだったので、百合はさらに慌てた。
男に免疫がないのだ。
「いっ、いえ!本当にこちらこそ…」
そう言いかけて百合は言葉を止めた。
(紫苑…!!)
そう、目の前にいたのは、まぎれもなく昔付き合っていた人そのものだった。
「…あの、どうかしましたか」
しかし、目の前の男性は特に気にするような素振りを見せなかった。
「…いいえ。何でもないの。ただちょっと見覚えがあるような気がしただけ」
慌てたつけた笑顔に気づかないのか、紫苑はにこっと笑った。
「そうでしたか。ですが多分、人違いだと思いますよ。…失礼ですが、見覚えがないもので」
申し訳なさそうに肩をすくめる、紫苑に似た人を百合は疑いの眼差しで見た。
(この人の言ってること、本当なのかしら…。でも、嘘をついてるようには見えないし…)
そこで、百合はある考えにたどり着いた。
「あの、名前を教えてもらっても…」
〜キーンコーンカーンコーン
「ちょっと、百合!遅刻になっちゃうじゃない!急がなくっちゃ! 」
言うと同時に、楓は百合を引っ張って行ってしまった。
「ちょっと待って!?私まだあの人に話が…」
「後にしなさい!」
そうして、紫苑似のコに何も聞けないまま終わってしまった。
百合の心に小さな不安を残して…。
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