裏切り〈4〉
「…ダメだ、いないよ〜」
彼を探すことはや三十分。
いっこうに見つかる気配は無かった。
「そこらへんに落ちていないかな〜」
「楓ったら。物じゃないんだから…、あら」
楓の台詞に苦笑いしながら探していた時だった。
「…いた」
そう、楓の言った通り、落ちていたのだった。
「コイツ、何やってんの?」
楓の疑問も最もだった。
なにしろ、花壇の横にねっころがっていたからだ。
「人が必死に探してたっけいうのに…!!…ちょっと、アンタ!起きなさいよ!」
「…んー。何?」
寝ぼけ眼の少年に、楓の怒りは爆発した。
「ちょっとアンタ!先輩にむかってそんな態度とるなんて、いい度胸じゃない!」
「!ハイ、すいません!」
さすがの彼もこれには驚いたらしい。
先程までは半分しか開いていなかった目が、今は完全に見開いている。
「あ…、さっきの」
「アンタに聞きたいことがあんのよ」
高校生時代、楓はかなりヤンチャだったと前に聞いたことはあったけど…、と百合は内心びっくりしていた。
(まさか、ここまで凄かったなんて…)
そんな百合の驚きに楓は気づくことなく、どんどん少年に詰め寄った。
「アンタさぁ、こっちの先輩のこと、見覚えない?」
楓は百合を指差した。
だが、少年は動じることなく百合をまじまじと見つめた。
「……。いや、見覚えはありませんけれど…」
少年は困惑しながらいった。
「嘘ついてんじゃ…」
「ねっ、ねぇ!」
このままではらちが明かないと思った百合は、慌てて会話に入った。
「…あなたの名前は?」
少年は百合を見て、口をゆっくりと動かす。
「…玲。坂田玲って言います」
百合と楓は、思わず顔を見合わせた。
「本当に…?」
「本当です」
玲は何度も何度も頷く。
「玲…。私のこと、覚えてない?百合だよ」
「百合…」
玲はじっと考え込んでいる。
「…ごめんなさい、本当にわかりません」
「そう…」
「でも!」
玲は、そこで一度言葉を切った。
「でも、…凄く懐かしい気がします」
「!!」
百合はその言葉に驚いた。
(やっぱり、今私の目の前にいる人は…玲なんだ)
彼を探すことはや三十分。
いっこうに見つかる気配は無かった。
「そこらへんに落ちていないかな〜」
「楓ったら。物じゃないんだから…、あら」
楓の台詞に苦笑いしながら探していた時だった。
「…いた」
そう、楓の言った通り、落ちていたのだった。
「コイツ、何やってんの?」
楓の疑問も最もだった。
なにしろ、花壇の横にねっころがっていたからだ。
「人が必死に探してたっけいうのに…!!…ちょっと、アンタ!起きなさいよ!」
「…んー。何?」
寝ぼけ眼の少年に、楓の怒りは爆発した。
「ちょっとアンタ!先輩にむかってそんな態度とるなんて、いい度胸じゃない!」
「!ハイ、すいません!」
さすがの彼もこれには驚いたらしい。
先程までは半分しか開いていなかった目が、今は完全に見開いている。
「あ…、さっきの」
「アンタに聞きたいことがあんのよ」
高校生時代、楓はかなりヤンチャだったと前に聞いたことはあったけど…、と百合は内心びっくりしていた。
(まさか、ここまで凄かったなんて…)
そんな百合の驚きに楓は気づくことなく、どんどん少年に詰め寄った。
「アンタさぁ、こっちの先輩のこと、見覚えない?」
楓は百合を指差した。
だが、少年は動じることなく百合をまじまじと見つめた。
「……。いや、見覚えはありませんけれど…」
少年は困惑しながらいった。
「嘘ついてんじゃ…」
「ねっ、ねぇ!」
このままではらちが明かないと思った百合は、慌てて会話に入った。
「…あなたの名前は?」
少年は百合を見て、口をゆっくりと動かす。
「…玲。坂田玲って言います」
百合と楓は、思わず顔を見合わせた。
「本当に…?」
「本当です」
玲は何度も何度も頷く。
「玲…。私のこと、覚えてない?百合だよ」
「百合…」
玲はじっと考え込んでいる。
「…ごめんなさい、本当にわかりません」
「そう…」
「でも!」
玲は、そこで一度言葉を切った。
「でも、…凄く懐かしい気がします」
「!!」
百合はその言葉に驚いた。
(やっぱり、今私の目の前にいる人は…玲なんだ)
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