夏と西瓜 第2話?
「リカはロマンチストねぇ。」
助手席で僕らのやりとりを聞いていた母が笑っている。
「でもお母さんだってそう思うでしょ?
月とダイヤだったら絶対ダイヤの方がキレイだよね?」
姉は助手席に身を乗り出して聞いた。
「そうねぇ。お母さんが若い頃、デザイナーさんの付き添いでマンハッタンに行った事があったんだけど、
その時泊まったホテルから見た夜景は確かに息を飲むほど素晴らしかったわね」
「おい、それはいつの話だ?」
父が急に割り込んだ。
「あら、もちろんあなたと出会う前よ」
母は楽しそうだ。
「ちょっとー!お父さんもしかしてヤキモチやいてるの!?あっねぇねぇ、そういえば二人はどうして結婚したの!?」
姉が興味津々になったのを悟り、父はしまったと言わんばかりにため息をついた。
僕から見た父はあまり笑わないし寡黙だけど、休みの日は必ず僕とキャッチボールをしてくれる本当は優しい人なんだ。
そんな父が、意外な一面を見せたことが僕には何だか嬉しかった。
「お父さんは月とダイヤ、どっちが好き?」
僕が話題を戻してそう聞くと、父は少し考えて静かにこう言った。
「月もダイヤだよ」
「え?」
理解できずに僕と姉は聞き返した。
「夜景のような電光飾は見た目は華やかだが、とても脆いんだ。地震がきたらどうだ?
地球に隕石が降ってきて破滅したら、あんなものは一瞬にして消えてしまうだろう。でも月は違う。
ただ静かに、何年も何千年も変わらずにそこにある。永久不滅なんだよ。
だから父さんは、月が好きなんだ。
月はきっとダイヤ以上に価値があるよ。
今はまだわからなくても、大人になればお前たちにもその魅力がわかるさ。」
さっきまではしゃいでいた姉は、黙って窓の外へ目をやった。
その先には、僕らに何か語りかけているような満月が、柔らかく優しく輝いていた。
「月もダイヤ…」
この時僕は、まさか父のこの言葉が僕の人生を大きく変えることになるとは、全く知る由もなかった。
助手席で僕らのやりとりを聞いていた母が笑っている。
「でもお母さんだってそう思うでしょ?
月とダイヤだったら絶対ダイヤの方がキレイだよね?」
姉は助手席に身を乗り出して聞いた。
「そうねぇ。お母さんが若い頃、デザイナーさんの付き添いでマンハッタンに行った事があったんだけど、
その時泊まったホテルから見た夜景は確かに息を飲むほど素晴らしかったわね」
「おい、それはいつの話だ?」
父が急に割り込んだ。
「あら、もちろんあなたと出会う前よ」
母は楽しそうだ。
「ちょっとー!お父さんもしかしてヤキモチやいてるの!?あっねぇねぇ、そういえば二人はどうして結婚したの!?」
姉が興味津々になったのを悟り、父はしまったと言わんばかりにため息をついた。
僕から見た父はあまり笑わないし寡黙だけど、休みの日は必ず僕とキャッチボールをしてくれる本当は優しい人なんだ。
そんな父が、意外な一面を見せたことが僕には何だか嬉しかった。
「お父さんは月とダイヤ、どっちが好き?」
僕が話題を戻してそう聞くと、父は少し考えて静かにこう言った。
「月もダイヤだよ」
「え?」
理解できずに僕と姉は聞き返した。
「夜景のような電光飾は見た目は華やかだが、とても脆いんだ。地震がきたらどうだ?
地球に隕石が降ってきて破滅したら、あんなものは一瞬にして消えてしまうだろう。でも月は違う。
ただ静かに、何年も何千年も変わらずにそこにある。永久不滅なんだよ。
だから父さんは、月が好きなんだ。
月はきっとダイヤ以上に価値があるよ。
今はまだわからなくても、大人になればお前たちにもその魅力がわかるさ。」
さっきまではしゃいでいた姉は、黙って窓の外へ目をやった。
その先には、僕らに何か語りかけているような満月が、柔らかく優しく輝いていた。
「月もダイヤ…」
この時僕は、まさか父のこの言葉が僕の人生を大きく変えることになるとは、全く知る由もなかった。
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