十字路とブルースと僕と俺 34
"奴"は嬉しそうに、千切れそうなほど激しく腕を振り返してきた。おれは短くなった煙草を一回口へ戻し、もう一度同じように腕をかざし返した。それを見た"奴"は、殊更激しく腕を振りまくったかと思うと、突然<回れ右>をしてそっぽを向いてしまった。
"奴"は四辻のほぼ中心で座り込んだ。何が何だかわからないおれを尻目に、奴は持っていたケースを開いて中からギターを取り出した。ボーーンッというアコースティックギターの柔らかな音が数回響いて、"奴"が手早くチューニングを施すと、一時の静寂が訪れた。
突然の事に呆気を取られ、口から煙草がポロッと落ちて、危うく履いていた長靴の中に火種付きの煙草が入りそうになった。サッと片足を引いて回避し、煙草は土の上に転がった。
その時だった。チューニングをした時とはあきらかに異質な、攻撃的な音色が"奴"のギターから発せられた。
間違いなく、この時聴いた音楽こそがブルースであり、本物のロックだった。
"奴"は四辻のほぼ中心で座り込んだ。何が何だかわからないおれを尻目に、奴は持っていたケースを開いて中からギターを取り出した。ボーーンッというアコースティックギターの柔らかな音が数回響いて、"奴"が手早くチューニングを施すと、一時の静寂が訪れた。
突然の事に呆気を取られ、口から煙草がポロッと落ちて、危うく履いていた長靴の中に火種付きの煙草が入りそうになった。サッと片足を引いて回避し、煙草は土の上に転がった。
その時だった。チューニングをした時とはあきらかに異質な、攻撃的な音色が"奴"のギターから発せられた。
間違いなく、この時聴いた音楽こそがブルースであり、本物のロックだった。
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