携帯小説!(PC版)

トップページ >> ノンジャンル >> 十字路とブルースと僕と俺 34

十字路とブルースと僕と俺 34

[278]  ティシュー  2009-04-27投稿
"奴"は嬉しそうに、千切れそうなほど激しく腕を振り返してきた。おれは短くなった煙草を一回口へ戻し、もう一度同じように腕をかざし返した。それを見た"奴"は、殊更激しく腕を振りまくったかと思うと、突然<回れ右>をしてそっぽを向いてしまった。

"奴"は四辻のほぼ中心で座り込んだ。何が何だかわからないおれを尻目に、奴は持っていたケースを開いて中からギターを取り出した。ボーーンッというアコースティックギターの柔らかな音が数回響いて、"奴"が手早くチューニングを施すと、一時の静寂が訪れた。

突然の事に呆気を取られ、口から煙草がポロッと落ちて、危うく履いていた長靴の中に火種付きの煙草が入りそうになった。サッと片足を引いて回避し、煙草は土の上に転がった。

その時だった。チューニングをした時とはあきらかに異質な、攻撃的な音色が"奴"のギターから発せられた。

間違いなく、この時聴いた音楽こそがブルースであり、本物のロックだった。

感想

感想はありません。

「 ティシュー 」の携帯小説

ノンジャンルの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス