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バスターズ!・第三十九話「決断の時!」

[508]  博上 文  2005-11-14投稿
「しっかり私に掴まれ。出発する。」
そう言って、咲坂はサングラスをはめ、龍一は咲坂の腹に左腕を回した。
自分の腹と咲坂の背中に折れた右腕が挟まれ、痛む。しかし、龍一はさらに強く、左腕にギュッと力を籠めた。
(今はただ・・・強くなりたい・・・力が・・・力が欲しい!)

ドルゥン!

力強く、エンジンがうなりをあげる。
「跳躍システム作動。着地場所・・・『ホーム』!」
その掛け声とともに、バイクは勢い良く前へと走りだした。

ヴオオオォォォ!

どんどんバイクは速度を増していく、景色が色のついた線の集合体にしか見えなくなってきた。
「目を閉じろ!」
咲坂の大きな声が、かすかに聞こえた。
龍一は目を閉じた。

ボッ!バァ−−−!!

目を閉じた瞬間、バイクの後部にある噴射控から炎が吹きでて、バイクはさらにスピードを上げた。
風が痛いくらい体に吹きかかる。ベルトが無かったら、とっくの昔に振り落とされているだろう。

カ−−−−−−!!

その音は、もはやバイクが出す音では無かった。
まぶたをキュッと絞めながら、龍一はまるで壁と天井の無い新幹線に乗っているような感覚を覚えた。

(この先に・・・きっと有るはずだ・・・俺の求める力が!)

カァァァ−−−!!

まだ、バイクはスピードを増していく。風が痛いくらい体に吹き付ける。

(アキラ・・・見ていろよ・・・!これが俺の・・・
決断の時だ!!


カァァァァァ−−−−−−バヒュウン!!・・・

光を放ち、バイクは消え、辺りは静寂に包まれた。


こうして、一人の少年は旅立った。
その胸に強い憎しみと決断、そして悲しみを籠めて・・・
後に残ったのは、一陣の風のみであった。


バスターズ!
第一章
「旅立」

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