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孤(こ) 十一

[501]  彰子  2009-05-01投稿
 目の前の病室のドアが振動でガタガタ鳴り、今にも壁ごと飛んで来そうだ。  美里はまた必死で走り出した。今度は確実に追われている…
 ‘ビチャッ ビチャッ’と、ゆっくり確実に…  でも、凄い速さを感じる…
 時折振り向きながら走る美里は、さっきとは逆の方へ曲がった
 と、階段がある
声が息と共に洩れている…出来るだけ洩れない様に、手で抑えながら走っているが、恐怖と孤独と息切れとで、どうしても洩れてしまう…
 …階段を降りれば、出口  があるはず…
 そう自分に言い聞かせ、力を振り絞り降りていく。 
 降りても降りても、階段は無くならない…
 少しずつ赤いそれは、近づいてくる…

 汗だくで力も限界に近づいて来た時、階段の脇に職員用のエレベーターを見つけた。
 階段の脇の影に息をひそめ、赤いそれが通りすぎるのを待った…
〔あれに乗れば下に着く〕美里は慌ただしくボタンを押し、エレベーターに飛び乗った。

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