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孤(こ) 十二

[503]  彰子  2009-05-01投稿
 ″1″のボタンを祈る思いで押し、自分の鼓動を抑えつつ、少し安堵の息も混じっている。

 凄い衝撃があり、エレベーターはガクンと停まった
 美里はあちこちのボタンを押してみたが、無駄だった…
 非常用の電灯が何気に中を映し出している

 ‘ビチョッ ビチョッ’と、足音が響き、自分の方へ近づいてくる…

 美里は辺りをゆっくりと見渡した。 足元…背後… …何も無かった…   しかし、それはやっぱり近づいてくる…


 ふと見上げた時、美里は目を剥き、大きく口を開けるが恐怖で声が出ない

 エレベーターの天井から、赤いそれは、こっちを覗いていた。
 「…カクレンボ  下手ダ ネ    ダ カ ラ ココカラ 出ラレナイッテ  言ッタノニ  …」
 そうニヤニヤ笑いながら美里の頭を暗闇から両手で掴み、引き上げていく…  美里は両手・両足をバタつかせ、必死でどこかに、掴まりたいと空を探すが、それも虚しく、頭だけがエレベーターの上部へ出た。 赤いそれはミシミシと嫌な音をたて、凄い力で美里の頭を挟んでいく…
 
 薄暗い中で美里は、目の前の赤いものに、昇太の最期の顔を見た…
その時、自分の目の中に赤いものが、サッっと流れ入ってくるのがわかった…

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