子供のセカイ。11
「腹、減ったなぁ…。」
ぽつりと呟くと、美香は掠れるような声で言った。
「ごめんなさい。」
「え?」
「私たち姉妹の問題に巻き込んじゃって。……ごめん。」
耕太はハッとすると、見えるわけでもないのに大慌てで首を横に振った。
「は、バカ違えよ!オレが勝手にしたことだし、そんなの気にしてねぇし!」
耕太はつい癖で、振り回すための木の枝を探そうとした。だが、ここが闇の中だと思い出し、少し呆然とする。
「……!」
それから、頭を殴られたような衝撃と共に「ソレ」に気づいた。
「おい美香!」
「え?」
「お前、ここで何か想像してみたか?“子供のセカイ”を開いてみたか!?」
美香もハッとなった。
瞳を鋭くして耕太がいる辺りを見つめる。
「いいえ、まだ試してないわ。」
「じゃあすぐに試そう!」
「入り口を作るのね?」
ああ、と勢いよく頷いた耕太は、もうひとつ別のことに気づいてがっくりとうなだれた。
「しまった、ダメだ…!オレ達の“子供のセカイ”は現実にはならないから、例え作れても通れねぇよ。」
美香は静かに頭を振った。
「いいえ、わからないわ。ここは現実世界じゃないから、もしかしたらいつもとは違った“子供のセカイ”が開けるかも……。」
二人の間に、にわかに興奮が広がって行った。
しかし、“子供のセカイ”を開くには道具が必要だ。舞子は何もない所から作り出せるが、普通は何か媒介物を必要とする。
耕太はごそごそと音を立てると、何か固くて柔らかいものを美香の手に押し付けた。
「これ、オレのスニーカー!入り口とか全然思い浮かばないから、お前やってくれよ。」
美香はすぐに受け取ると、スニーカーの輪郭を手で確かめた。何から何を想像するのか。これが“子供のセカイ”を開くのに大事なことになる。
(入り口……。)
美香はそっとスニーカーを下に置いた。見失わないために手は離さない。それから、暗い空間をじっと見つめたまま、光をあげて輝く扉を想像した。
床からゆらゆらと立ち上った光に、美香と耕太の明るい表情が浮かび上がった。
「「やった!!」」
歓声を上げて二人はパンッと手を打ち合わせた。光は見る間に背丈の高さを超え、横幅も広がり、裕に二人が通れるくらいに大きくなった。
ぽつりと呟くと、美香は掠れるような声で言った。
「ごめんなさい。」
「え?」
「私たち姉妹の問題に巻き込んじゃって。……ごめん。」
耕太はハッとすると、見えるわけでもないのに大慌てで首を横に振った。
「は、バカ違えよ!オレが勝手にしたことだし、そんなの気にしてねぇし!」
耕太はつい癖で、振り回すための木の枝を探そうとした。だが、ここが闇の中だと思い出し、少し呆然とする。
「……!」
それから、頭を殴られたような衝撃と共に「ソレ」に気づいた。
「おい美香!」
「え?」
「お前、ここで何か想像してみたか?“子供のセカイ”を開いてみたか!?」
美香もハッとなった。
瞳を鋭くして耕太がいる辺りを見つめる。
「いいえ、まだ試してないわ。」
「じゃあすぐに試そう!」
「入り口を作るのね?」
ああ、と勢いよく頷いた耕太は、もうひとつ別のことに気づいてがっくりとうなだれた。
「しまった、ダメだ…!オレ達の“子供のセカイ”は現実にはならないから、例え作れても通れねぇよ。」
美香は静かに頭を振った。
「いいえ、わからないわ。ここは現実世界じゃないから、もしかしたらいつもとは違った“子供のセカイ”が開けるかも……。」
二人の間に、にわかに興奮が広がって行った。
しかし、“子供のセカイ”を開くには道具が必要だ。舞子は何もない所から作り出せるが、普通は何か媒介物を必要とする。
耕太はごそごそと音を立てると、何か固くて柔らかいものを美香の手に押し付けた。
「これ、オレのスニーカー!入り口とか全然思い浮かばないから、お前やってくれよ。」
美香はすぐに受け取ると、スニーカーの輪郭を手で確かめた。何から何を想像するのか。これが“子供のセカイ”を開くのに大事なことになる。
(入り口……。)
美香はそっとスニーカーを下に置いた。見失わないために手は離さない。それから、暗い空間をじっと見つめたまま、光をあげて輝く扉を想像した。
床からゆらゆらと立ち上った光に、美香と耕太の明るい表情が浮かび上がった。
「「やった!!」」
歓声を上げて二人はパンッと手を打ち合わせた。光は見る間に背丈の高さを超え、横幅も広がり、裕に二人が通れるくらいに大きくなった。
感想
感想はありません。