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あしたなんていらないから?

[267]  あめの  2006-07-14投稿


『……………は?』




わからない。
なんて言ったんだろ?





『ごめん、よく聞こえなかっ…』
『あした死んじゃうの。』
『…誰が?』
『あたしが。』
『なんで?』




泣いてるように笑う。


やだよ。


そんな笑顔。




『ほんとは昨日だったんだよ。』
『……………。』
『でも、延びたの。』
『……………。』




し、死ぬって………何言ってんのかわかんないよ。




『…ブン?』
『病気なの?』



おそるおそる聞いたら、ユキは笑った。



『ちがうよ。』
『じゃぁなんで!』



笑い話じゃないだろ!





『…………ずっとずっとずっと好きだったひとがいるの。』
『え…………』



好きなひといたんだ。



『でもね、明日結婚しちゃうんだって。』
『…………うん。』



ごめん。僕いまホッとした。




『あたしずっと好きだった。』
『うん。』

『彼もあたしのこと好きだった。』

『うん。』


ホッとしたけど、なんかつらかった。




『でもね、大人には何かを犠牲にしなきゃいけない時が来るんだって。』


笑ってうつむく。
泣きそうな声だ。




『いっぱい泣いたよ。』
『うん。』
『でもダメだったの。』
『うん。』
『だから、もういいやって。』



何がいいんだか。




『名前言うのためらったのはね、好きだったひとがあたしの名前好きって言ってくれたから。』
『うん。』


僕も好きだ。



『名前言ったら、泣いちゃうと思って。』
『うん。』



でも教えてくれた。



『だけど、ブンには教えてみたの。』
『うん。』


別に深い意味はないんだけどね。


とユキは笑った。




『あした、結婚式なんだって。』
『うん。』
『…………やだなぁ。』



ユキはチラッと涙をみせた。




『………でも、きっとあたし死ねない。』


なんで?



『ほんとはね、ブンと初めて会った日も死のうとおもってたんだよ。』

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